極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
 情報を得た組員に詳しい話を聞いていく昴。

 そもそもの始まりは、想汰が背負った借金だった。

 様々な金融会社から金を借りては返済するという暮らしを送り、最終的に返済出来なくなった想汰は取り立てから逃げる為に姿をくらました。

 けれど、想汰の元へ取り立てに来た男はそう簡単に逃げ切れる相手では無かった。

 その男は人の弱みを握り意のままに操ることを何より好む人間で、顔だけは人並み以上に整っていた想汰は女を誘い出す役には最適だと思っていた。

 そして、軽い興味本位で身辺を調べさせた結果、送られてきた写真を見た瞬間、男の目の色が変わった。

「……これはいい」

 想汰の妹の羽衣子は男の好みで、その瞬間から男の中でどうにかして彼女を手に入れたいと思っていた。

 その思いから想汰を捜し出し、見つかった想汰は地面に額を擦りつける勢いで懇願した。

「頼む……! 命だけは助けてくれ!」

 その様子を見下ろしていた男は愉快そうに口角を上げて命じたのだ。

「命が惜しけりゃ妹と接触しろ」

その命令に想汰は逆らうことも出来ず、どうにか接触する為に手紙を送り、長く途絶えていた兄妹は再会を果たした。

 そして、想汰に命令をしていた男こそ高遠だったのだ。

 全てを聞き終えた瞬間部屋の空気が凍りつき、昴の拳は強く握り締められていた。

「……ふざけやがって」

 低く押し殺した声には隠しきれない怒気が滲んでいて、その表情はこれまで見たことがないくらいに険しかった。

「羽衣子が、高遠の好みの女…………最悪だ」

 高遠が過去に女を傍に置いていたこともあったが、すぐに飽きる性格から用済みになれば金の為に売られていくという噂を耳にしたことがある。

「アイツにとって所詮、男も女も自分の欲を満たす為だけの道具に過ぎない……そんな奴の標的に羽衣子が……」

 その瞬間、居ても立ってもいられなくなった昴は立ち上がると、急いで事務所を出て行った。
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