極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
「…………っ」

 昴から話を聞いた羽衣子の顔は青ざめ、身体は微かに震えている。

 そんな羽衣子を前にした昴は立ち上がると羽衣子の隣へ座り、身体を強く抱き締めた。

「悪かったな、こんな話を聞かせて。大丈夫だ、お前のことは俺が必ず守るから、心配しなくていい」
「……昴さん……っ」

 自分が昴たちの組と敵対している男に狙われていて、その発端になったのが兄だった。

 兄がこれまでしてきた数々のことは全て、その男に言われたから。

 その事実が羽衣子を悲しませた。

 この前羽衣子が想汰本人から聞かされた『脅されていた』という話は嘘では無かったのかもしれないが、結局は自分が助かる為に羽衣子を高遠に差し出そうとしているだけなのだ。

「……私、怖いですけど、でも、私のせいで、昴さんや他の皆さんが危険な目に遭うのは、もっと嫌なんです……だから……」
「分かってる、お前は心優しいからそう言うだろうと思っていた。けどな、俺や組員たちの心配は二の次だ。今はお前の安全が最優先なんだ。不便だろうが、暫くは外に出るのも控えて欲しい」
「それは、はい……分かってます」
「それと、お前を誘き寄せる為に希海を攫う可能性もあるからな、希海も暫くは幼稚園を休ませる」
「……すみません、私のせいで……」
「お前は悪くないんだ、謝らなくていい。それとだな、今回のこともあるから、週末の旅行も延期にしよう」
「……、仕方ないですよね」
「この件はどうにかして片づけるから、待っていてくれ」
「……はい」

 返事をした羽衣子はぎゅっと昴にしがみつくと身体を預ける中、彼女の脳裏にあることが過ぎる。

(昴さんが強いのは分かるし、守るって言ってくれてるけど……万が一、相手に捕まってしまったら……私は……)

 自分のことを好みだという高遠はろくでもない奴だと聞いていることもあり、そんな男が常識を持ち合わせているはずもないだろうと思うと恐怖でしかない。

(怖い……っ、)

 そんな思いを打ち消すように羽衣子は顔を上げて昴を見る。

「……昴さん、話を聞いて、急いで帰ってきてくれたんですね」
「当たり前だろう? お前に何かあったらと思うと気が気じゃなかった。生きた心地がしねぇんだよ」
「昴さん……」

 そして、顔を見合せた二人は見つめ合うと、そのまま唇を重ね合わせていく。

 互いの存在を確かめるように求め貪り合う中、羽衣子はただ願う。

 自分のせいで誰かが傷つくことがないようにと。

 そして、高遠がどうにかして自分を諦めてくれるようにと。
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