極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
(昴さん……っ)

 車の中で羽衣子はスマートフォンを片手に昴の無事を祈っていた。

 返ってくるかは分からないがメッセージを入れていた羽衣子。

 ただ、昴が意識もハッキリしていて無事なら連絡の一つくらいはいれそうなもの。

 それが無いということは意識が無いのか、スマートフォンを操作出来ない程の状態であるという可能性が高い。

(どうして……狙いは私なのに、こんなやり方……)

 車を走らせている乙哉もまた、辺りを警戒しながら病院に向かう。

 正直、相手がここまでの動きをするとは思わなかった。

 いくら昴でも、運転中に襲撃されればかわしきれない。

 しかも、羽衣子には詳しい経緯を伝えてはいないが狙われた場所は人気も車通りもあまり無い道路で、車に向けて何発か銃が使われていたことも分かっていた。

 ただ、その銃口は全てタイヤに向けられたようで、身体に銃弾が撃ち込まれたことは無いのが救いだった。

(……昴さん、連絡くれねぇってことは結構ヤバいってことだよな……)

 乙哉も羽衣子同様、昴の容態があまり良くないことを悟っていて、一刻も早く病院へ着いて状況を知りたい思いでいっぱいだった。

 一時間程走らせたところでようやく車は停まる。

 辿り着いたのは住宅街から少し離れた場所にある大きな敷地の前。

 そこには建物が二つあり、羽衣子は乙哉たちに連れられて木々に囲まれ奥まった場所に建っている方の建物へと案内された。

白城(しらき)さん! 昴さんの容態は!?」

 乙哉は中へ入るなりそう声を上げると、受付に座るマスクを掛けた中年男性が鋭い瞳で乙哉たちを捉え、

「院長は今オペ中だ。そこに座ってろ」

 とだけ言うと何やら作業を再開した。

「ったく、相変わらず感じ悪い奴だな……」

 男の態度に不満を募らせた乙哉は羽衣子に聞こえるくらいの小声で呟くと、

「羽衣子ちゃん、ここなら安全だからとりあえず座ってて」

 未だ不安げな表情を浮かべる羽衣子に向けていつも通りの穏やかな態度へ切り替えた乙哉が椅子を指差しながら座るよう促した。
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