極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
「何なんだ、この騒ぎは」

 乙哉たちが羽衣子の行方を捜索しているさ中、手術室から一人の男が姿を見せる。

「白城さん! 昴さんは!?」

 彼は白城(しらき) (みのる)

 この白城医院の医院長で、彼の祖父が先代の組長と旧知の仲だった縁で七鳳組は世話になっている。

「落ち着け。結論から言うと、昴は大丈夫だ。奴を運んで来た組員の話によれば、車が襲撃されて複数人が襲いかかって来たようだ。複数箇所の打撲もあるが、幸い骨に異常は無い。一番は脇腹辺りを刺されていたこと。まあ、出血量の割に傷は深く無かったから良かったがな。今は麻酔が効いてるから眠ってるが、直に目を覚ますだろう。それで、一体どういう状況なんだ? さっき窓ガラスが割れる音が聞こえてきたが……」

 昴の容態を聞いて安堵した乙哉は先程起きた事の次第を一から説明する。

 話を聞いた実は、

「その彼女が落としたスマートフォンに何か手がかりはねぇのか? 攫う時に落ちていれば普通拾うだろ?」
「確かに」

 言われた乙哉はスマートフォンに視線を移す。

 ロックが掛かっているものの、今羽衣子が持っているスマートフォンは昴が用意していた物なのでロック自体は皆で共有出来るようになっていた。

 暗証番号を入れて解除すると未読のメッセージが送られていて、 それを開いた乙哉は眉間に皺を寄せた。

「……羽衣子ちゃん、誰からか分からない相手からの指示で動いてたんだ……。相手から昴さん宛に港から少し離れた工業地帯の外れにある建物を指定して来た。【京極 昴一人で来い。期限は明日朝まで。仲間を連れて来れば、女も子供の命も無いと思え。子供も常に見張っている】って」
「希海はどうしてるんだ?」
「組長の屋敷に避難させてる」
「けど、そのメッセージからすると他にも内通者が居る可能性も捨てきれねぇな」
「……確かに」
「何にしても昴が目覚めねぇことには動きようがねぇな」
「いや、けど……」
「今下手に動いた方がリスクしかねぇだろ? 動くにしても日が暮れねぇと無理だ。ひとまずお前は組長の屋敷に居るかもしれねぇ内通者を皐月と連携して炙り出せ。昴が目を覚ましたらすぐに知らせるから」
「分かった、頼みます!」

 羽衣子を助ける為には昴が居なければどうにもならず、今乙哉たちに出来ることは他にも内通者が居ないかを調べることだけ。

 実に言われた乙哉は早速皐月に連絡を取って怪しい動きをしている組員が居ないか探りを入れることにした。
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