極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
 暫くして、ようやく落ち着きを取り戻した羽衣子に昴は言った。

「羽衣子、少しだけここで待っていてくれ」
「昴さん?」
「高遠と吾妻の今後について指示を出してくる」

 その言葉に羽衣子は不安そうな表情を浮かべる。

「……あの、二人は、どうなりますか?」

 昴は一瞬だけ言葉を選ぶように悩み、静かに答えた。

「少なくとも、お前は奴らと二度と会うことはないだろう」
「…………」

 その一言で羽衣子は全てを察したように俯く。

 悲しくないわけではないけれど、兄はそれだけ取り返しのつかない罪を犯したのだから、その責任から逃れることは出来ない。

 だからこそ、それは仕方の無いことなのだと自分に言い聞かせた。

「すぐ戻る」
「……はい」

 昴は部屋を後にし、想汰が拘束されている地下へ戻って行く。

「何だよ……何の用だよ?」

 姿を見るなり投げやりな態度で睨みつける想汰に昴は淡々と告げる。

「お前の処遇は俺に一任された」
「……はっ、そうかよ」
「何か言うことはあるか?」

 その言葉に想汰は少し黙り込んだあと、自嘲するように笑う。

「何もねぇよ。どうせ殺されるんだろ? もういい……全部、俺が悪かったんだ。羽衣子(アイツ)をあそこまで追い詰めた俺が……」
「羽衣子の言葉がそれなりに堪えたみたいだな」
「…………」

 想汰は何も答えられずただ俯いる中、昴は本題を告げる。

「お前は高遠と共に‪柳生会へ身柄を送る。俺ら七鳳組に関わることも、羽衣子と会うことも二度とないだろう」

 そして少しだけ声を和らげて言葉を続けた。

「……少しでも後悔しているなら自分の罪を認めて償え。そしてせいぜい命乞いでもするんだな……。俺から言えるのは、それだけだ」

 それだけ言い残すと昴は踵を返して部屋を後にする。

「……羽衣子を…………頼む……」

 去り際に小さく漏れた嗚咽と消え入りそうな声で呟かれたその言葉が昴の耳に届いたけれど、それに反応を見せることはせずにそのままドアを閉めた。
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