極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
 部下たちの元へ向かった昴は静かに指示を出した。

「二人を柳生会の元へ送る。そう組長に伝えてくれ。俺は一度家に戻る」
「分かりました!」

 高遠と想汰の処分を柳生会へ委ねる決断を伝え終えると、昴は羽衣子の元へ戻る。

「待たせたな。帰ろう」
「え? もう帰って大丈夫なんですか?」
「ああ。後で組長(オヤジさん)のところへ行かなきゃならねぇけどな」
「そうなんですね」

 羽衣子はそれ以上何も聞かなかった。

 二人は車に乗り込み自宅へと戻る。

 そして、辿り着いて敷地内に車を停めて降りた、その瞬間だった。

「ういちゃん! パパ!!」

 弾けるような笑顔を浮かべた希海が家の中から勢いよく飛び出してくる。

「希海くん、ただいま」

 羽衣子が微笑み返すと昴はその後ろから出てきた乙哉へ声を掛けた。

「悪かったな。面倒見てもらって」
「気にしないでください。それより、二人とも早く入ってくださいよ」
「はやく、はやく!」

 乙哉に促され、希海に手を引かれるようにして家へ入り、リビングへ足を踏み入れた二人は思わず足を止めた。

「わぁ……凄い!」

 室内は色とりどりの飾り付けが施され、ダイニングテーブルには手作りの料理が所狭しと並んでいるのだ。

 その光景に昴は驚いたように辺りを見回した。

「凄いな……。どうしたんだ、これは」

 すると乙哉が笑いながら事情を説明する。

「実は、二人が出掛けた後にテレビで料理番組を目にした希海が突然、二人の為にご飯を作りたいって言い出して、そしたらそれを聞い皐月が、『それならパーティーの準備をしましょう』って提案して、そこから急いで買い出しに行って、みんなで飾り付けや料理をしたんですよ」

 話を聞き終えた昴と羽衣子は顔を見合わせると自然と笑みを浮かべた。

「そうか。頑張ったな」

 昴が希海の頭を優しく撫で、

「本当に凄いね。びっくりしちゃったよ。ありがとうね、希海くん」

 羽衣子も目を細めながらお礼を伝えると、二人から褒められた希海は照れくさそうにはにかみながら喜んでいた。
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