極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
自宅を出た昴は車のハンドルを握りながら、何度も自問自答を繰り返していた。
高遠と想汰を柳生会へ送る――そう決断を下したはずなのに、それが本当に正しかったのか分からずにいたのだ。
その背景には羽衣子の涙が大きく影響していた。
想汰との決別を選びながらも最後まで泣き続けていた羽衣子。
きっと羽衣子は想汰が殺されることを覚悟している。
けれど、その役目を自分にだけは担って欲しくないと思っているのではないか――そんな気がしてならなかった。
車はやがて亮治の屋敷へと到着し、登紀子に出迎えられて挨拶を交わすと迷うことなく書斎へ向かって歩いて行った。
「すみません。遅くなりました」
昴が頭を下げると亮治は椅子に深く腰掛けながら軽く手を振る。
「構わねぇさ。それで……二人を柳生会へ送る決断をしたそうだが……異論はねぇのか?」
その問いに昴はすぐには答えられず、沈黙が流れていく。
「……何だ。煮えきらねぇって顔してるな」
亮治に見透かされた昴は苦笑にもならない表情を浮かべた。
「……正直、高遠については妥当な判断だと思っています。でも、吾妻の方は……」
そこまで口にした昴の拳が自然と強く握り締められる。
「……この手で殺してやりたいくらい、許せない存在です」
「……だろうな。けどまあ、それをやったところでお前を咎める奴なんざ誰もいねぇ」
その言葉を受けても尚、昴は首を横に振る。
「ですが……羽衣子のことを考えると、それが本当に正しい選択なのか分からないんです…………羽衣子は泣きながら吾妻との別れを決断しました。そして、恐らく吾妻が殺されるんだと思っているはずです。俺が吾妻の処遇を決める権利があると知った時、羽衣子は悲しげな表情を浮かべていました。俺がアイツを許せないことは羽衣子も分かっているから、もしかしたら俺が殺す選択をするのでは無いか、そんな不安そうな表情を浮かべていました」
「…………」
「羽衣子は優しい人間だから、俺が人を……自身の兄を手に掛けたと知ったら、悲しむだろう……そう思うと俺は……自らの手で吾妻を始末することが出来ません。若頭っていう立場に立ちながらこんな甘いことを言って、申し訳ありません……」
黙ったまま話を聞いていた亮治は煙草を一本取り出すとゆっくり火を点け、紫煙を吐き出してから低い声で口を開いた。
高遠と想汰を柳生会へ送る――そう決断を下したはずなのに、それが本当に正しかったのか分からずにいたのだ。
その背景には羽衣子の涙が大きく影響していた。
想汰との決別を選びながらも最後まで泣き続けていた羽衣子。
きっと羽衣子は想汰が殺されることを覚悟している。
けれど、その役目を自分にだけは担って欲しくないと思っているのではないか――そんな気がしてならなかった。
車はやがて亮治の屋敷へと到着し、登紀子に出迎えられて挨拶を交わすと迷うことなく書斎へ向かって歩いて行った。
「すみません。遅くなりました」
昴が頭を下げると亮治は椅子に深く腰掛けながら軽く手を振る。
「構わねぇさ。それで……二人を柳生会へ送る決断をしたそうだが……異論はねぇのか?」
その問いに昴はすぐには答えられず、沈黙が流れていく。
「……何だ。煮えきらねぇって顔してるな」
亮治に見透かされた昴は苦笑にもならない表情を浮かべた。
「……正直、高遠については妥当な判断だと思っています。でも、吾妻の方は……」
そこまで口にした昴の拳が自然と強く握り締められる。
「……この手で殺してやりたいくらい、許せない存在です」
「……だろうな。けどまあ、それをやったところでお前を咎める奴なんざ誰もいねぇ」
その言葉を受けても尚、昴は首を横に振る。
「ですが……羽衣子のことを考えると、それが本当に正しい選択なのか分からないんです…………羽衣子は泣きながら吾妻との別れを決断しました。そして、恐らく吾妻が殺されるんだと思っているはずです。俺が吾妻の処遇を決める権利があると知った時、羽衣子は悲しげな表情を浮かべていました。俺がアイツを許せないことは羽衣子も分かっているから、もしかしたら俺が殺す選択をするのでは無いか、そんな不安そうな表情を浮かべていました」
「…………」
「羽衣子は優しい人間だから、俺が人を……自身の兄を手に掛けたと知ったら、悲しむだろう……そう思うと俺は……自らの手で吾妻を始末することが出来ません。若頭っていう立場に立ちながらこんな甘いことを言って、申し訳ありません……」
黙ったまま話を聞いていた亮治は煙草を一本取り出すとゆっくり火を点け、紫煙を吐き出してから低い声で口を開いた。