極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
 遊園地までは高速を使って一時間程の道のりだった。

 大人にとってはさほど長くない距離でも、子供にとっては退屈してしまうかもしれない。

 そこで希海が車内で飽きてしまわないよう、あらかじめ用意しておいたアニメのDVDを流すことにした。

 DVDが再生されて後部座席のモニターに見慣れたアニメが映し出される。

「あ、これ、ぼくのすきなやつ!」
「よかったな」

 昴がバックミラー越しに振り返って笑いかけると希海は画面から目を離さず嬉しそうに頷いた。

「うん!」

 それから車内にはアニメの楽しげな音声と時折聞こえてくる希海の笑い声が響き始める。

 暫くして昴は隣に座る羽衣子へと視線を向けた。

「悪かったな。勝手に遊園地行きを決めちまって」

 突然の誘いになったことを気にしているのか昴が少し申し訳なさそうに言うと羽衣子は、後部座席で楽しそうにアニメを見ている希海を振り返りながら微笑んだ。

「いえ。希海くん、すごく嬉しそうですし、広瀬さんや春川さんも一緒なので、すごく楽しくなりそうで私もワクワクしてますよ」
「そりゃ良かったよ」

 羽衣子の言葉に昴は安心したように笑う。

 車内は終始穏やかな空気に包まれていた。

 やがて一行を乗せた車は高速道路を降り、目的地である遊園地へと到着する。

 今日は平日だというのに人気の遊園地なだけあって人は多い。

 駐車場から入り口へ向かうと、そこには既に大勢の人が並んでおり、入場口付近はかなり混雑していた。

「はやくはいりたい!!」

 遊園地が見えたことで気持ちが一気に高まった希海は待ちきれない様子でその場で足を動かすけれど列はまだ進みそうにない。

「順番だから、もう少し待とうな」

 見兼ねた乙哉がしゃがんで希海と目線を合わせ、優しく宥める。

「でも、はやくあそびたい……」
「分かる分かる。でも、もうちょっとだけ我慢しろって。な?」

 乙哉がそう言い聞かせながら抱き上げると、皐月も声を掛けた。

「それじゃあ、待っている間に何から乗るか決めましょうか」

 そう言いながらスマートフォンを取り出して遊園地の公式アプリを開くと、画面には園内のアトラクションが一覧で表示された。

「ほら、こんなにありますよ。希海くんは何に乗りたいですか?」
「えっと……これ!」

 希海は画面を覗き込み、目についたアトラクションを指差す。

「これ? いいですね。それじゃあ次はどれにします?」
「うーんとねぇ、これ!」
「それじゃあ、これも候補に入れておきましょうね」

 皐月が笑いながら次々と候補を選んでいく。

 すると先程まで、「早く入りたい」とぐずっていた希海はすっかり機嫌を直し夢中になって画面に集中し、そんな微笑ましい光景を昴と羽衣子は後ろから眺めていた。
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