極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
「……駄目、なわけはないが…………本当に良いのか?」

 念を押すように昴が尋ねると、羽衣子は俯いたまま小さく頷いた。

「……昴さんとだから……入りたい、です」

 その言葉に昴は一瞬だけ目を見開くと、その思いを汲むように頷く。

「分かった。それじゃあ入るか……それで、どうする? 羽衣子が先に入るか? それとも、俺が先に入っていた方がいいか?」
「えっと…………」

 突然問われ羽衣子は困ったように考え込んだ。

 どちらを選んだところで恥ずかしいことには変わりないけれど、自分が後から入るとなれば、先に温泉に浸かっている昴を意識してしまい、今以上に緊張してしまいそうだと思った羽衣子は悩んだ末、

「さ、先に……入ります……」

 自分が先に入ることを告げる。

「分かった。それじゃあ、少ししたら俺も入るから」
「はい……」

 こうして二人は一緒に温泉へ入ることになり、羽衣子が準備を整える為に先に脱衣所へ向かう。

 一人になり、浴衣に手をかける。

(とんでもないこと、言っちゃった……)

 自分から一緒に入りたいと言い出したのだから今さら後悔するわけにはいかない。

 そう思っているのに心臓はドクドクと大きな音を立てている。

(……自分から言い出したことだけど……やっぱり恥ずかしい……)

 浴衣と下着を脱いだ羽衣子は早く温泉へ入ってしまおうと手早くタオルを手に取ると、深呼吸を一つしてから露天風呂へ向かった。

 一方昴もまた、羽衣子の前では比較的平静を装っていたものの一人になった途端表情を硬くしていた。

(……まさか羽衣子が言ってくるとはな……)

 正直に言えば昴としても一緒に温泉へ入れたら嬉しいと思っていた。

 けれど羽衣子の性格を考えれば恥ずかしがって嫌がるだろうとも思っていたからこそ、無理に誘うつもりはなかった。

 それがまさか羽衣子の方から一緒に入りたいと言いだしたのだ。

(……嬉しい、けど……)

 柄にもなく緊張していることに気づいた昴は苦笑しつつ時計に目を向ける。

「……そろそろ、いいか……」

 そう呟いた昴も脱衣場へ入り準備をすると、先に温泉に浸かる羽衣子の元へ向かって歩き出した。
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