極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
 その頃、そんなこととは知らない羽衣子は帰宅後すぐに簡単に身支度を整えると、どっと押し寄せた疲れに抗えず、そのままベッドへと倒れ込んでいた。

「……疲れた……」

 ぽつりと呟き、目を閉じる。

 一日で色々あり過ぎたことで意識はすぐに眠りへと落ちていった。

 そして翌日、朝から羽衣子は落ち着かない様子で家事をこなしていた。

 掃除をして、洗濯をして、何度も時計を確認する。

(……もうすぐ、来る……)

 久しぶりに会う兄。

 嬉しさがないわけではないけれど、胸の奥に残る違和感が、どうしても消えなかった。

 そんな中、ピンポーンとインターホンが鳴る。

「……っ」

 一瞬、動きが止まるけれどすぐに小さく息を吸い、玄関へと向かった。

 そしてドアを開けるとそこに立っていたのは、

「……久しぶり」

 どこか気まずそうに視線を逸らす兄の姿だった。

「……お兄ちゃん……」

 羽衣子は一瞬だけ目を見開いた後でふっと表情を緩める。

「来てくれて、ありがとう」

 柔らかな声でそう言って、

「……どうぞ、入って」

 温かく兄を迎え入れた。
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