極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
「ありがとう……。それと、あれだな。お前の方にも挨拶に行かねぇとな」
「え……?」
「育ててくれた叔父さんがいるんだろ?」
「あ……はい」
「だったら、きちんと挨拶はしねぇとな」

 当然のことのように言う昴に羽衣子の胸がじんわりと温かくなる。

「そう、ですね……。それと……私の両親にも、報告したいです」
「そうだな。俺もきちんと挨拶しねぇとな」
「ありがとうございます。そこまで考えてくださって……」
「何言ってんだ。そんなこと当たり前だろ」
「昴さん……」

 羽衣子は胸の奥に広がっていく温かな気持ちを感じながら運転席に座る昴をそっと見つめていた。

 その後、二人はショッピングモールで希海が喜びそうな玩具をいくつか選び、更には組員たち皆で食べられるようにとお菓子も複数買い込む。

 そして買い物を終えた二人は少し遅めの昼食を済ませてから帰路についた。

 見慣れた景色が広がり亮治の屋敷が近づいて来ると、途端に二人の胸はどこか落ち着かなくなった。

「……結婚の報告、慶太さんや香恵さんも組長(オヤジさん)たちにしてたけど……こんなに緊張するもんなんだな」
「昴さんにとって、お二人はご両親のような存在ですものね」
「ああ……」

 短く返した昴の声にはわずかな緊張が滲んでいて、そんな昴を見ながら羽衣子も自分の胸元へそっと手を当てる。

「私も……緊張してます」
「お前も?」
「はい。その、希海くんのこともありますし……」

 自分が昴と結婚するということは、希海の母親になるということ。

 孫のように可愛がっている亮治たちが自分をどう思うのか――そう考えるとどうしても不安が過ぎるのだ。

 けれど、昴はそんな羽衣子の不安を払うように笑う。

「何の心配もいらねぇよ。他でもないお前を選んだんだから」
「……昴さん……」

 そして――車は亮治の屋敷へと到着し、二人が車を降りると玄関の方から小さな足音が聞こえてきた。

「パパー! ういちゃん!!」

 そんな弾むような声とともに希海が二人の元へ駆けて来る。

「おかえりー!」
「ただいま、希海」

 昴が笑って受け止める隣で羽衣子も自然と頬を緩めた。

「ただいま、希海くん」

 無邪気な笑顔を向けてくる希海を見つめながら、二人の胸にあった緊張がほんの少しだけ和らいでいくのだった。
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