極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
「希海、じいじとばあばに話があるから、もう少しだけ待っててくれるか?」

 昴がそう声を掛けると希海は素直に頷いた。

「うん、わかった」
「この玩具で遊んで待っててね」

 羽衣子が買ってきた玩具を希海に手渡すと、

「うん!」

 嬉しそうに玩具を受け取った希海は中へ入って行き、その後ろ姿を見届けた昴はすぐ側に控えていた皐月へ視線を向けた。

「皐月、希海のこともう少し頼むよ」
「はい」

 そして皐月に希海を任せると昴と羽衣子は中へ入り、亮治たちの元へ向かう。

 まず二人が声を掛けたのは、キッチンで夕食の準備をしていた登紀子だった。

「登紀子さん希海のこと、ありがとうございました」
「まあ、二人ともお帰りなさい。ゆっくりできたかしら?」

 声を掛けられた登紀子が手を止めて振り返る。

「はい。おかげさまで」
「それは良かったわ」

 穏やかに微笑む登紀子に昴は一度言葉を切った。

「登紀子さん、これから少し話したいことがあるんですけど……組長(オヤジさん)も一緒にいいですか?」
「話?」

 突然の言葉に登紀子は不思議そうに首を傾げる。

「ええ。ちょっと……」
「いいわよ。亮治(あの人)なら今、茶の間にいると思うから先に行ってて。私はこれだけ終わらせてから行くから」
「分かりました」
「お忙しいところにすみません」
「いいのよ」

 二人は登紀子に頭を下げると、そのまま茶の間へ向かい襖を開けると、そこでは亮治が座椅子に身体を預けてテレビを眺めていた。

「組長(オヤジさん)、ただいま戻りました」

 昴が声を掛けると亮治はテレビから視線を外す。

「おう、お帰り。ゆっくりできたか?」
「はい。希海のこと、ありがとうございました」
「そんなこと気にするな。俺も登紀子も希海がいると良い刺激になるからなぁ」

 その言葉に昴は勿論、羽衣子もほっとしたように微笑んだ。

「あの……少しお話ししたいことがあるんですけど、いいですか?」
「話? 何だ? 深刻なことか?」
「ええ、まあ……」

 昴は一瞬だけ言葉を選ぶように間を置いた。

「その登紀子さんにも一緒に聞いてもらいたいので、先程声を掛けてきました」
「そうか」

 亮治は昴の表情を見つめると、それ以上は追及しなかった。

「それなら、隣に行くか」
「はい」

 そして亮治の提案で三人は茶の間に隣接する客間へと移動した。

 それからほどなくして、登紀子も人数分のお茶を用意して客間へ入ってくる。

「お待たせ。それで、話っていうのは何かしら?」

 そう言いながらお茶をそれぞれの前に置く登紀子に昴と羽衣子は顔を見合わせると、頷き合ってから姿勢を正して向かいに座った二人と視線を合わせた。
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