極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
「そんなつもりはないけどな? まあ、そう思わせちまったなら悪かった。許してくれるか?」

 そう言って昴が笑うと羽衣子は少しだけ困ったように視線を伏せた。

「…………許します……でも、意地悪なことばっかり……言わないで欲しいです……」
「意地悪なこと? 例えば?」
「……っ、そういうところです!」

 頬を膨らませて声を上げた羽衣子に昴は楽しそうに笑う。

「はは、悪かったって」

 そんな二人のやり取りの声で希海が、「うーん……」と小さく身動ぎをしたので、それに気づいた二人はそっと希海の様子を窺う。

「……っと、これ以上は希海が起きちまうな」
「……そうですね……」
「それじゃ、続きはまた夜な?」
「続きとか無いですって……」

 少し呆れたように返す羽衣子だったが、結局のところ最後まで昴のペースに飲まれてしまっていた。

 自宅に着くと車の中で眠っていた希海はすっかり目を覚ましたようでテンションが高く、目が覚めた途端に始まったのは羽衣子の独占だった。

「ういちゃん!」

 何をするにも羽衣子を求める希海の姿に乙哉と皐月は羽衣子のことを『母親』として受け入れ始めたのだと察したらしく、どこか微笑ましそうにその様子を見つめていた。

「希海、風呂入るか」

 昴が声をかけると希海はすぐさま羽衣子のほうを見上げた。

「ぼく、ういちゃんとはいる!」
「それじゃあ私が一緒に入りますね」

 羽衣子がそう答えると昴は一瞬だけ二人を見つめると小さく頷いた。

 それから風呂から上がって寝る支度を整えても、帰りの車の中で眠ってしまったせいか希海はなかなか眠ろうとしなかった。

「ういちゃん、あそぼ?」
「希海くん、もう寝る時間だよ?」
「だって、ねむくない……」
「お布団に入って目を瞑ればきっと眠くなるよ?」

 少し考えた希海はすぐに嬉しそうな顔をする。

「……じゃあういちゃんにくっついてねる! えほんよんで?」
「いいよ。それじゃあ、お布団行こうね」
「うん。ういちゃん、だっこ」

 両手を伸ばして甘える希海に羽衣子は頬を緩めた。

「希海くん、甘えん坊さんだね?」
「だめ?」
「ううん、ダメじゃないよ」

 そう言って羽衣子は希海を抱き上げると、ちょうど風呂から上がってきた昴と目が合った。

「昴さん、希海くんと先に寝室に行っていますね」
「……ああ」

 羽衣子はそれだけ告げると腕の中で嬉しそうにしている希海を連れてリビングを出ていった。
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