極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
 その背中を昴が見送っている横で乙哉が微笑まし気に口を開く。

「希海、すっかり羽衣子ちゃんに甘えてますね」
「無事に受け入れてもらえたみたいで良かったですね」

 皐月も笑みを浮かべながら頷いた。

 二人の言葉を聞いていた昴はぽつりと独り言のように呟く。

「……まあ、それは良いが、ちょっと甘え過ぎな気がするな……」

 その言葉に乙哉と皐月は顔を見合わせ、何かを察したように乙哉が口元を緩めた。

「……昴さん希海にヤキモチっすか?」
「広瀬さん……」

 慌てたように皐月が嗜めると昴は見るからに不機嫌そうな表情を浮かべ、

「そんなんじゃねぇよ、変なこと言うな」

 それだけ言い残すとムッとした表情のままリビングを出ていった。

 その背中を見送った乙哉と皐月は再び顔を見合わせながら、

「昴さんって分かりやすいよな」
「そうですね、吾妻さん絡みは特に……」

 口々に話していた。

 一方寝室に行った羽衣子と希海はというと、眠くないと言っていた希海は羽衣子の横で既に夢の中にいた。

 羽衣子の読み聞かせが一瞬で希海を夢の世界へ導いたようだ。

「おやすみ、希海くん」

 そう言って起こさないよう希海の身体に布団を掛けてベッドから降りようとすると、そのタイミングで昴が寝室へやって来た。

「希海、もう寝たのか?」
「はい、絵本を読み始めて数分で……」
「流石は羽衣子の読み聞かせだな」
「そんなに眠くなりますか?」
「ああ、凄くな」
「ふふ、昴さんにもしましょうか? 読み聞かせ」

 少しだけからかうように羽衣子が言うと昴は、

「そうだな、お願いするかな?」

 羽衣子を後ろから抱き締める形で座って耳元で囁くように口にした。
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