極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
幸せへの第一歩、心に残る一つのこと
 結婚することを決めて希海にも羽衣子が母親になることを伝えた二人は、少しずつ結婚に向けた準備を進めていく。

 とはいえ二人で話し合いを重ねた結果、結婚式は挙げずに家族での写真撮影だけを行うことになった。

 昴も羽衣子もそういった華やかな場はあまり得意ではないのが理由の一つでもあり、周りも二人の意見を尊重したからだ。

 そして、二人には入籍する前に済ませておきたいことがあった。

 それは羽衣子の両親への報告と、育ての親である叔父への挨拶だ。

 叔父の元を訪ねる日、二人は希海を乙哉と皐月に預けて出掛ける準備を整えていた。

「それじゃあ、希海を頼む」
「よろしくお願いします」
「希海くんのことは任せてください」
「昴さん、羽衣子ちゃん、行ってらっしゃい」

 二人はまだ眠っている希海を託すと、まずは羽衣子の両親が眠る墓へ向かうため隣県へと車を走らせる。

 道中、車内では昴が羽衣子の両親について尋ね、羽衣子は懐かしむように微笑みながら話し始めた。

「二人が亡くなったのは私が五歳の頃だったので沢山思い出がある訳でもないし、記憶もそこまで鮮明では無いんですけど……父と母はとても優しい人でした。いつもニコニコ笑いながら私や兄のことを見守ってくれて……でも、悪いことをしたときにはきちんと叱ってくれる人たちでした」

 その流れで兄の話を口にすることになった羽衣子の表情は一瞬悲しそうに瞳を揺らすも、すぐに笑顔が戻る。
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