極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
「私も親になったら、そんな二人を見習いたいなって思っています」
「……お前を見ていれば、ご両親がどんな人だったのかがよく分かる」

 昴は前方に視線を向けたまま静かに言葉を続けていく。

「今もお前のことを見守っているだろうからな、きちんと挨拶しねぇと」
「ふふ、ありがとうございます」

 優しい言葉に羽衣子は嬉しそうに微笑んだ。

 暫くして昴はもう一つ気になっていたことを口にする。

「それで、叔父さんはどんな人なんだ?」
「そうですね……一言で言えば真面目な方です。でも、とても優しいんですよ。勉強もよく見てもらっていましたし、私のことをいつも気に掛けてくれていました」

 懐かしそうに語る羽衣子の言葉に昴は小さく頷いた。

「そうか……きっと、お前のことを大切に思っているんだろうな」

 そこで一度言葉を切った昴はわずかに眉を寄せた。

「……認めてもらえればいいが」

 それはいつになく不安げな声音だった。

 普段は何事にも動じない昴がどこか落ち着かない様子を見せていることにに気づいた羽衣子は安心させるように明るく声を掛けた。

「大丈夫です! 昴さんなら両親も叔父も絶対に喜んでくれます!」
「……羽衣子」

 真っ直ぐに向けられる羽衣子の言葉と笑顔に昴の表情がわずかに和らぐも、胸の内にある不安が完全に消えたわけではないのだろう。

 大切に育てられた羽衣子を自分がこれから先、幸せにしていく――その覚悟を伝えて認めてもらいたい。

 そう思えば思う程どんな言葉で挨拶をすればいいのか考えずにはいられず、いつも以上に口数が少なくなった昴は車を走らせながらこれから訪れる対面に向けて頭の中で何度も挨拶の言葉を組み立てるのだった。
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