極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
「ありがとうございました、両親のお墓に一緒に来てくれて」

 車に戻った羽衣子は隣に座る昴へ視線を向けると感謝の言葉を口にした。

「礼なんて必要ない。当然のことだ」

 昴は前を向いたまま当たり前だと言わんばかりに答えたその言葉に羽衣子は胸の奥が温かくなるのを感じた。

「昴さん……」
「さてと、次は叔父さんだな……」

 そう口にした昴の声にはやはり緊張が滲んでいた。

「叔父の家はここから車で一時間くらいです」
「夕方までには着けるな」
「はい。それじゃあそのくらいに着くって連絡しておきますね」
「ああ、頼む」

 羽衣子が叔父へ連絡を入れるのを待ってから昴は再びハンドルを握る。

 結婚を認めてもらう為にも昴には自分の口からきちんと伝えなければならないことがあり、その思いを胸に昴は緊張を抱えたまま車を走らせた。

 それから一時間程が経ち、二人は叔父の住む家へと到着した。

 駐車場に車を停めて降りると羽衣子は昴と共に玄関へ向かいインターホンを押す。

 するとほどなくして扉が開き、四十代後半程の穏やかで人のよさそうな男性が顔を出した。

「久しぶりだね羽衣子、いらっしゃい。えっと……京極さん、だったかな? 遠いところをありがとうございます。どうぞ中へ」
「お久しぶりです、叔父さん」
「初めまして、本日はお時間をいただきありがとうございます」

 二人がそれぞれ挨拶をすると叔父は柔らかな笑みを浮かべて二人を家の中へ招き入れた。

 案内された和室に二人が並んで座って待っていると、叔父がお茶を運んでくる。

 湯呑みをそれぞれの前に置いた叔父は二人の向かい側へ腰を下ろした。

「いやぁ、羽衣子から連絡をもらったときは驚いたよ。紹介したい人がいるなんて言うものだからね」
「ごめんなさい、驚かせてしまって」
「いやいや、謝ることじゃないさ。羽衣子ももうそういう年齢になったんだなと思うと私も嬉しいよ」

 和やかな空気が流れる中、昴は静かに背筋を伸ばした。
< 247 / 253 >

この作品をシェア

pagetop