極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
その日、羽衣子は園での業務をこなしながらも、どこか落ち着かない気持ちを抱えていた。
(……昨日の、あれ……)
自宅の前で感じた、あの視線。
気のせいだと思おうとしても、土曜日の出来事といい、外へ出るとどうしても考えてしまう。
「せんせー、これできた!」
「……あ、本当だ、すごいね、上手だね」
園児に呼ばれて我に返り笑顔を向けるものの、ふとした瞬間に周囲へ目を向けてしまう自分がいた。
同僚たちも引き続き警戒はしているが、園内は今日も変わらず平穏だった。
そして夜、仕事を終えて帰り支度を整えた羽衣子は園の外へ出る。
(……広瀬さんに昨日のこと、相談してみようかな……)
そう思いながら視線を向けた先に車が停まっていたので近付いて行くと――
「……え……?」
その運転席の窓から顔を覗かせたのは昴だった。
「お疲れさまです」
「……あの、どうして……?」
戸惑いを隠せないまま車に乗り込んだ羽衣子が問いかけると、昴は淡々と答えていく。
「乙哉は少し用がありまして、今日は私が来ました」
「そ、そうなんですか……」
予想外の展開に羽衣子は一瞬言葉を失う。
「……あの、希海くんは?」
「ああ、希海は少々知り合いに預かってもらっています」
さらりと言われたその言葉に、羽衣子は更に驚いた表情を見せた。
「そこまでして迎えに来ていただいて……すみません」
思わず申し訳なさそうに羽衣子が頭を下げると昴は軽く首を振る。
「いえ。それより――」
そして一瞬だけ言葉を区切り羽衣子を真っ直ぐに見た。
「少し、吾妻先生に聞きたいことがあります」
「……?」
羽衣子はきょとんとした表情で首を傾げる中、
「何でしょうか?」
昴は一拍置いてから静かに口を開いた。
「……お兄さんのことです」
「……え……?」
予想していなかった話題に羽衣子の目が僅かに見開かれる。
「お兄さんは、今どのようなお仕事を?」
「えっと……知り合いの会社で働いていると聞きました」
「その会社の場所や……現在の住まいは?」
「……それは……」
昴の質問に羽衣子は言葉を詰まらせる。
羽衣子自身知りたいことは沢山あったものの、想汰とは久しぶりの再会だったこともあり、そこまで踏み込んだ話はしていなかった。
「……実は、そこまで詳しくは……まだ聞けてなくて……」
そんな羽衣子の答えを聞いた昴はそれ以上聞くことを止めた。
「……そうですか」
訪れた沈黙の中、羽衣子は少しだけ困惑したように口を開いた。
「……あの、どうして……そんなことを……?」
それは純粋な疑問だった。
何故昴が、そこまで想汰のことを気にするのか。
羽衣子のその疑問に昴は、
「……すみません。いきなりでお気を悪くされましたよね。先日の見知らぬ男の件もありましたから、吾妻先生の周りの人間については、こちらとしても少し知っておきたかったんです。お兄さんとは久しぶりに会うと仰っておられましたから」
「……そう、だったんですね。すみません、こちらこそ、心配していただいて」
「いえ。それじゃあ、帰りましょうか」
「はい、よろしくお願いします」
こうしてこの件に関しての会話はここで終わり、ぎこちなさが残るままにアパートへ向かって車は走っていく。
(……昨日の、あれ……)
自宅の前で感じた、あの視線。
気のせいだと思おうとしても、土曜日の出来事といい、外へ出るとどうしても考えてしまう。
「せんせー、これできた!」
「……あ、本当だ、すごいね、上手だね」
園児に呼ばれて我に返り笑顔を向けるものの、ふとした瞬間に周囲へ目を向けてしまう自分がいた。
同僚たちも引き続き警戒はしているが、園内は今日も変わらず平穏だった。
そして夜、仕事を終えて帰り支度を整えた羽衣子は園の外へ出る。
(……広瀬さんに昨日のこと、相談してみようかな……)
そう思いながら視線を向けた先に車が停まっていたので近付いて行くと――
「……え……?」
その運転席の窓から顔を覗かせたのは昴だった。
「お疲れさまです」
「……あの、どうして……?」
戸惑いを隠せないまま車に乗り込んだ羽衣子が問いかけると、昴は淡々と答えていく。
「乙哉は少し用がありまして、今日は私が来ました」
「そ、そうなんですか……」
予想外の展開に羽衣子は一瞬言葉を失う。
「……あの、希海くんは?」
「ああ、希海は少々知り合いに預かってもらっています」
さらりと言われたその言葉に、羽衣子は更に驚いた表情を見せた。
「そこまでして迎えに来ていただいて……すみません」
思わず申し訳なさそうに羽衣子が頭を下げると昴は軽く首を振る。
「いえ。それより――」
そして一瞬だけ言葉を区切り羽衣子を真っ直ぐに見た。
「少し、吾妻先生に聞きたいことがあります」
「……?」
羽衣子はきょとんとした表情で首を傾げる中、
「何でしょうか?」
昴は一拍置いてから静かに口を開いた。
「……お兄さんのことです」
「……え……?」
予想していなかった話題に羽衣子の目が僅かに見開かれる。
「お兄さんは、今どのようなお仕事を?」
「えっと……知り合いの会社で働いていると聞きました」
「その会社の場所や……現在の住まいは?」
「……それは……」
昴の質問に羽衣子は言葉を詰まらせる。
羽衣子自身知りたいことは沢山あったものの、想汰とは久しぶりの再会だったこともあり、そこまで踏み込んだ話はしていなかった。
「……実は、そこまで詳しくは……まだ聞けてなくて……」
そんな羽衣子の答えを聞いた昴はそれ以上聞くことを止めた。
「……そうですか」
訪れた沈黙の中、羽衣子は少しだけ困惑したように口を開いた。
「……あの、どうして……そんなことを……?」
それは純粋な疑問だった。
何故昴が、そこまで想汰のことを気にするのか。
羽衣子のその疑問に昴は、
「……すみません。いきなりでお気を悪くされましたよね。先日の見知らぬ男の件もありましたから、吾妻先生の周りの人間については、こちらとしても少し知っておきたかったんです。お兄さんとは久しぶりに会うと仰っておられましたから」
「……そう、だったんですね。すみません、こちらこそ、心配していただいて」
「いえ。それじゃあ、帰りましょうか」
「はい、よろしくお願いします」
こうしてこの件に関しての会話はここで終わり、ぎこちなさが残るままにアパートへ向かって車は走っていく。