極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
「驚きますよね。ですが、恐らく……」

 穏やかな声で言った昴に、羽衣子は息を呑んだまま視線を向ける。

 どうしてそんなことが分かるのか――その疑問が胸の中で膨らんでいく。

「その、盗――」

 思わず口にしかけた瞬間、昴はすっと人差し指を自身の口元に当てた。

 “静かに”とでも言うような仕草に羽衣子ははっとして言葉を飲み込み、慌てて口を噤む。

 その様子を確認すると昴は静かに頷き、再びスマートフォンを手に取った。

 指先が画面をなぞり、文字が打ち込まれていく。

 テーブルに置かれた画面には、こう表示されていた。

《何故分かるのか、それについては知り合いにそういう物を探る仕事をしている者がおりまして、以前聞いたことがあったんです》

 羽衣子はそれを読み僅かに目を見開くが、納得しかけたものの不安は消えない。

 すぐに自分もスマートフォンを手に取り震える指で文字を打ち込んだ。

《どこにあるかも分かったりするんですか?》

 昴はその画面に目を落とすと少しだけ考えるように視線を伏せ、それから再び入力を始める。

《そうですね、一番は探知する機械があればいいのですが……流石にそれは持ち合わせていないので……。最近何か人から物を貰ったり、あるいは他人が部屋に入ったりしていませんか?》

 その一文を読んだ瞬間、羽衣子の思考が止まった。

(人から……物……?)

 その言葉で胸の奥に引っかかるものが生まれ、次の瞬間――脳裏に浮かんだのは、兄の顔。

(……お兄ちゃん)

 記憶が鮮明に蘇る。

 優しげな笑顔とともに差し出された雑貨屋の袋。

「これ、お前が好きそうだと思ってさ」

 そう言って渡されたのはウサギのぬいぐるみ。

 羽衣子はゆっくりと顔を上げると、テレビの横にある棚の上に置かれたそれに視線が吸い寄せられるように向いた。
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