極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
 重たい沈黙が部屋の中に落ちていき、時計の針の音だけがやけに大きく響く中、その静寂を破ったのは羽衣子だった。

「あの……京極さんのお知り合いに、盗聴器を探すことを専門としている方が、いらっしゃるんですよね?」

 恐る恐るといった様子で紡がれた言葉に、昴は視線を上げる。

「ええ、まあ」
「その方に……来て貰えないでしょうか? あ、今日はもう遅いですから、もちろん明日以降で……。もしかしたら他にも仕掛けられているかもしれないので、一度、調べて貰いたくて……」

 そんな不安を押し隠しきれない声で話す羽衣子の気持ちを汲み取るように、昴は間を置かずに頷いた。

「分かりました。でしたら今すぐ呼びましょう。ハッキリさせておかないと暮らすのに不安でしょうからね」
「え? で、でも……」
「大丈夫です、時間は気にしなくて。私が頼めばすぐに来てくれますから」

 一切の迷いのない言葉に羽衣子は目を瞬かせた後、少しだけ肩の力を抜いて深く頭を下げた。

「……すみません、ありがとうございます」
「いえ。では今から連絡を取りますね」

 言って昴はすぐにスマートフォンを取り出し、ある人物へと電話をかける。

「悪いな、今から一件頼みたいんだが――」

 そして短い要件を的確に伝えると通話をすぐに終えた。

「これから来てくれるそうです」

 その言葉に、羽衣子は安堵と緊張が入り混じったような表情で頷いた時、思い出したように顔を上げる。

「すみません、あの……希海くんのこと、お迎えに行かなくて大丈夫でしょうか? ここは私一人でも大丈夫ですから……」

 気遣うようなその言葉に昴は穏やかに首を横に振る。

「大丈夫です。先程メッセージが届いていて、乙哉の用が済んだみたいなので迎えを頼んでありますから。それに、吾妻先生お一人では不安でしょう」
「京極さん……ありがとうございます、助かります」

 昴の気遣いに感謝をしつつ、盗聴器が発見されて以降羽衣子の中にあった恐怖が少しずつ薄れていくのを感じていた。
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