極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
そのやり取りからほどなくして、インターホンが静かに鳴り、昴の知り合いである水無瀬 亨が到着した。
室内に入ると、亨は無駄のない動きで調査を始め、手にした専用機器を使いながら家具の裏や壁際、コンセント周り、更には僅かな隙間に至るまで丁寧に確認していく。
その様子を羽衣子はソファに座ったまま固唾を呑んで見守っていた。
やがて一通りの確認を終えた亨が静かに口を開く。
「……一通り見ましたが、見当たりませんね」
その一言に羽衣子の肩から一気に力が抜けた。
「本当ですか……?」
「ええ。心配しなくても大丈夫ですよ」
安心を促すその声に羽衣子の表情にもようやく安堵の色が浮かぶ。
「悪かったな、いきなり呼び出して」
「いえ、昴さんの頼みですから」
やり取りを見ていた羽衣子は遠慮がちに口を挟んだ。
「あの、代金はおいくらでしょうか?」
「昴さんの知り合いの方から代金なんていただけませんよ!」
「え? で、でも……」
「吾妻先生、彼の言う通りです。金銭の心配は要りませんから」
昴が穏やかにそう言い添えると、亨も軽く頷いた。
「それじゃあ、俺はこれで失礼しますね」
「あの、本当にありがとうございました」
結局、料金の支払いは必要ないまま亨はその場を後にした。
再び部屋には羽衣子と昴の二人きりになる。
「……すみませんでした、こんな時間まで付き合ってもらってしまって……」
時刻は既に夜の十時を回り、申し訳なさから羽衣子は視線を落とした。
しかし昴はいつもと変わらない柔らかな笑みを浮かべている。
「そんなこと気にしないでください。ひとまず、他には仕掛けられていないことが分かって良かったです」
その言葉で羽衣子の胸がじんわりと熱を帯びた。
(京極さんは……どうしてこんなに……)
言葉にできない感情が静かに込み上げてくる。
「それでは、私はそろそろ」
「今日は本当にありがとうございました」
玄関まで見送りながら羽衣子は深く頭を下げる。
扉を開けたところで昴はふと振り返った。
「……疑いたくはないですが、実際に盗聴器が仕掛けられていたのは事実です。金曜日に限らず、お兄さんと会う際や連絡が来た時は、くれぐれもお気をつけください」
「……はい」
「それでは、また明日」
扉が閉まる音が、やけに大きく響く中、羽衣子はその場に立ち尽くす。
「……盗聴器を仕掛けるだなんて……理由があったとしても、やっちゃダメだよ……」
震える声が、ぽつりと零れる。
「どうしてなの? お兄ちゃん……」
答えの返ってくるはずのない問いだけが静かな部屋に残り続け、羽衣子は暫くその場から動くことが出来なかった。
室内に入ると、亨は無駄のない動きで調査を始め、手にした専用機器を使いながら家具の裏や壁際、コンセント周り、更には僅かな隙間に至るまで丁寧に確認していく。
その様子を羽衣子はソファに座ったまま固唾を呑んで見守っていた。
やがて一通りの確認を終えた亨が静かに口を開く。
「……一通り見ましたが、見当たりませんね」
その一言に羽衣子の肩から一気に力が抜けた。
「本当ですか……?」
「ええ。心配しなくても大丈夫ですよ」
安心を促すその声に羽衣子の表情にもようやく安堵の色が浮かぶ。
「悪かったな、いきなり呼び出して」
「いえ、昴さんの頼みですから」
やり取りを見ていた羽衣子は遠慮がちに口を挟んだ。
「あの、代金はおいくらでしょうか?」
「昴さんの知り合いの方から代金なんていただけませんよ!」
「え? で、でも……」
「吾妻先生、彼の言う通りです。金銭の心配は要りませんから」
昴が穏やかにそう言い添えると、亨も軽く頷いた。
「それじゃあ、俺はこれで失礼しますね」
「あの、本当にありがとうございました」
結局、料金の支払いは必要ないまま亨はその場を後にした。
再び部屋には羽衣子と昴の二人きりになる。
「……すみませんでした、こんな時間まで付き合ってもらってしまって……」
時刻は既に夜の十時を回り、申し訳なさから羽衣子は視線を落とした。
しかし昴はいつもと変わらない柔らかな笑みを浮かべている。
「そんなこと気にしないでください。ひとまず、他には仕掛けられていないことが分かって良かったです」
その言葉で羽衣子の胸がじんわりと熱を帯びた。
(京極さんは……どうしてこんなに……)
言葉にできない感情が静かに込み上げてくる。
「それでは、私はそろそろ」
「今日は本当にありがとうございました」
玄関まで見送りながら羽衣子は深く頭を下げる。
扉を開けたところで昴はふと振り返った。
「……疑いたくはないですが、実際に盗聴器が仕掛けられていたのは事実です。金曜日に限らず、お兄さんと会う際や連絡が来た時は、くれぐれもお気をつけください」
「……はい」
「それでは、また明日」
扉が閉まる音が、やけに大きく響く中、羽衣子はその場に立ち尽くす。
「……盗聴器を仕掛けるだなんて……理由があったとしても、やっちゃダメだよ……」
震える声が、ぽつりと零れる。
「どうしてなの? お兄ちゃん……」
答えの返ってくるはずのない問いだけが静かな部屋に残り続け、羽衣子は暫くその場から動くことが出来なかった。