極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
それから暫くは大きな問題もなく穏やかな日々が続いていた。
希海は新しい幼稚園にも徐々に慣れ始め、羽衣子もまた、新たな生活のペースを掴み始めていた。
そんなある日、昴の元へ一本の連絡が入る。
「……見つかったのか?」
低く呟きながら、昴は送られてきた資料へ目を落とした。
そこに書かれていた名前は想汰のもの。
羽衣子に借金を押し付けて以来、ずっと行方を眩ませていた想汰。
その所在について、ようやく情報が入ったのだ。
送られてきた資料へ目を通す昴の表情が徐々に険しくなる。
「……やはり、そっちに流れていたか」
資料の中には想汰が現在接触している人間関係や行動履歴が事細かに纏められていた。
その中心にいるのは、七鳳組と敵対している組織――稲見組の若頭補佐、高遠 伊吹。
高遠は上からの指示なのか、悪徳金融会社と連んで違法な金の流れや詐欺まがいの案件に深く関わっている厄介な人間で、想汰もまた、高遠の指示で以前と変わらず人を騙して金を巻き上げているらしい。
「まぁ、元から想汰一人で動いているとは思えなかったが、やはり後ろには組織が絡んでたか」
昴は元々、通信契約を装って借金を押し付ける手口や契約書を複数用意し内容を誤認させるやり方など、素人の思いつきにしては妙に悪質で手慣れていたことから、想汰が単独であそこまで巧妙なことを思いついたとは思えておらず、必ずそれを手助けしている者がいると考えていた。
それに、報告があった当初から想汰はろくでもない連中との繋がりがあったこともあり、知人経由で高遠と繋がったのだろうと推測した。
金に困っていれば怪しい人間が近付き、甘い話に乗り、利用される。
少なからず人の心が残っていれば踏みとどまれたのかもしれないが、想汰もまた他人を利用することに躊躇がない男だったのだろう。
そうでなければ実の妹である羽衣子へ借金を押し付けるなどしないはずだから。
そして――盗聴器の件についても、ただの思いつきだったとは考えづらい。
昴は資料を机へ置き、小さく息を吐いた。
稲見組のように敵対組織の連中は、女を食い物にするような人間が少なくない。
弱みを握り、逃げ場を奪い、都合よく使い潰す。
そういうやり方を平然と行う連中もいることが事実。
羽衣子の場合、金に困り、ろくでもない連中と繋がっている想汰という身内が居るからこそ、組織はどこかのタイミングで使える駒として情報を得たかったのかもしれない。
「……とにかく、これ以上放置は出来ねぇ。いつまた彼女に接触して来るかも分からねぇからな」
元から見逃すつもりなどなかったが、背後に敵対組織まで絡んでいるとなれば話は別だ。
中途半端に関われば、羽衣子や希海へ危険が及ぶ可能性もある。
だからこそ、慎重に事を運ぶ必要があるのだ。
「……今後も吾妻 想汰を徹底的にマークしろ。何か動きがあればすぐに知らせてくれ」
『承知しました』
通話を切った後、昴は静かにソファーへ背を預ける。
天井を仰ぐその瞳は冷え切っていて、羽衣子を悲しませた想汰の処遇をどうするか、黙々と考えていた。
希海は新しい幼稚園にも徐々に慣れ始め、羽衣子もまた、新たな生活のペースを掴み始めていた。
そんなある日、昴の元へ一本の連絡が入る。
「……見つかったのか?」
低く呟きながら、昴は送られてきた資料へ目を落とした。
そこに書かれていた名前は想汰のもの。
羽衣子に借金を押し付けて以来、ずっと行方を眩ませていた想汰。
その所在について、ようやく情報が入ったのだ。
送られてきた資料へ目を通す昴の表情が徐々に険しくなる。
「……やはり、そっちに流れていたか」
資料の中には想汰が現在接触している人間関係や行動履歴が事細かに纏められていた。
その中心にいるのは、七鳳組と敵対している組織――稲見組の若頭補佐、高遠 伊吹。
高遠は上からの指示なのか、悪徳金融会社と連んで違法な金の流れや詐欺まがいの案件に深く関わっている厄介な人間で、想汰もまた、高遠の指示で以前と変わらず人を騙して金を巻き上げているらしい。
「まぁ、元から想汰一人で動いているとは思えなかったが、やはり後ろには組織が絡んでたか」
昴は元々、通信契約を装って借金を押し付ける手口や契約書を複数用意し内容を誤認させるやり方など、素人の思いつきにしては妙に悪質で手慣れていたことから、想汰が単独であそこまで巧妙なことを思いついたとは思えておらず、必ずそれを手助けしている者がいると考えていた。
それに、報告があった当初から想汰はろくでもない連中との繋がりがあったこともあり、知人経由で高遠と繋がったのだろうと推測した。
金に困っていれば怪しい人間が近付き、甘い話に乗り、利用される。
少なからず人の心が残っていれば踏みとどまれたのかもしれないが、想汰もまた他人を利用することに躊躇がない男だったのだろう。
そうでなければ実の妹である羽衣子へ借金を押し付けるなどしないはずだから。
そして――盗聴器の件についても、ただの思いつきだったとは考えづらい。
昴は資料を机へ置き、小さく息を吐いた。
稲見組のように敵対組織の連中は、女を食い物にするような人間が少なくない。
弱みを握り、逃げ場を奪い、都合よく使い潰す。
そういうやり方を平然と行う連中もいることが事実。
羽衣子の場合、金に困り、ろくでもない連中と繋がっている想汰という身内が居るからこそ、組織はどこかのタイミングで使える駒として情報を得たかったのかもしれない。
「……とにかく、これ以上放置は出来ねぇ。いつまた彼女に接触して来るかも分からねぇからな」
元から見逃すつもりなどなかったが、背後に敵対組織まで絡んでいるとなれば話は別だ。
中途半端に関われば、羽衣子や希海へ危険が及ぶ可能性もある。
だからこそ、慎重に事を運ぶ必要があるのだ。
「……今後も吾妻 想汰を徹底的にマークしろ。何か動きがあればすぐに知らせてくれ」
『承知しました』
通話を切った後、昴は静かにソファーへ背を預ける。
天井を仰ぐその瞳は冷え切っていて、羽衣子を悲しませた想汰の処遇をどうするか、黙々と考えていた。