極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
昴に案内され、羽衣子がやって来たのは駅近くに建つ高層マンションだった。
エントランスを抜け、エレベーターで最上階へ。
降りてすぐの角部屋の前で足を止めた昴が鍵を開ける。
「どうぞ」
「お邪魔します……」
一歩足を踏み入れた瞬間、羽衣子は思わず息を呑んだ。
室内は驚くほど整っていて生活感がほとんどなく、家具の配置や色味まで計算されたような空間はまるでモデルルームのよう。
とても小さな子供が暮らしているとは思えない程、隅々まで清潔に保たれている。
「……すごく、綺麗ですね」
「そうですか?」
昴は特に気にした様子もなく靴を脱ぎながら応じる。
その何気ない反応に、これが昴にとっては当たり前なのだと分かる。
その時、奥の方からひょいと顔を覗かせる影があった。
「あ、お帰りなさい」
現れたのは、昨日園に迎えに来た金髪の青年だった。
「こんにちは」
「あ、どうもどうも。昨日ぶりっすね」
軽い調子で手を挙げる彼に羽衣子はぺこりと頭を下げる。
「えっと……」
「ああ、紹介まだでしたよね」
戸惑う羽衣子を見兼ねた昴が言葉を挟む。
「こいつは弟分みたいなものなんです。こう見えて家事が得意なので、困った時によく手伝ってもらっているんですよ」
「広瀬 乙哉っす。よろしく」
ニッと人懐っこく笑いながら名乗る――乙哉に羽衣子も少しだけ緊張を解いたように微笑む。
「吾妻 羽衣子です。よろしくお願いします」
「いやー、でも先生来てくれて助かりますね! 希海のやつ、マジで機嫌悪くて俺も昴さんもスゲェ手を焼いてて」
「乙哉、お前は少し黙ってろ」
そんなやり取りをしていた、その時だった。
奥の部屋から小さな泣き声が聞こえてくる。
「……目を覚ましたか」
昴が反応し、すぐにそちらへと足を向けたので、乙哉に続いて羽衣子も後を追うように部屋を覗く。
ベッドの上で目を覚ました希海が不安そうに泣いていた。
熱のせいか頬は赤く目元も潤んでいる。
「希海、大丈夫だ」
昴が優しく声をかけながら近付いた、その少し後ろ羽衣子の姿を見つけた瞬間、
「……っ、せんせ!」
涙で濡れていた希海の瞳が一気に輝き、小さな手をいっぱいに伸ばす。
「せんせ……!」
嬉しそうに笑みを浮かべて自分を呼ぶその声に、羽衣子の胸がじんわりと温かくなる。
「希海くん……」
そっと近付いて小さな手を取ると、希海は安心したようにぎゅっと羽衣子の手を握り返した。
エントランスを抜け、エレベーターで最上階へ。
降りてすぐの角部屋の前で足を止めた昴が鍵を開ける。
「どうぞ」
「お邪魔します……」
一歩足を踏み入れた瞬間、羽衣子は思わず息を呑んだ。
室内は驚くほど整っていて生活感がほとんどなく、家具の配置や色味まで計算されたような空間はまるでモデルルームのよう。
とても小さな子供が暮らしているとは思えない程、隅々まで清潔に保たれている。
「……すごく、綺麗ですね」
「そうですか?」
昴は特に気にした様子もなく靴を脱ぎながら応じる。
その何気ない反応に、これが昴にとっては当たり前なのだと分かる。
その時、奥の方からひょいと顔を覗かせる影があった。
「あ、お帰りなさい」
現れたのは、昨日園に迎えに来た金髪の青年だった。
「こんにちは」
「あ、どうもどうも。昨日ぶりっすね」
軽い調子で手を挙げる彼に羽衣子はぺこりと頭を下げる。
「えっと……」
「ああ、紹介まだでしたよね」
戸惑う羽衣子を見兼ねた昴が言葉を挟む。
「こいつは弟分みたいなものなんです。こう見えて家事が得意なので、困った時によく手伝ってもらっているんですよ」
「広瀬 乙哉っす。よろしく」
ニッと人懐っこく笑いながら名乗る――乙哉に羽衣子も少しだけ緊張を解いたように微笑む。
「吾妻 羽衣子です。よろしくお願いします」
「いやー、でも先生来てくれて助かりますね! 希海のやつ、マジで機嫌悪くて俺も昴さんもスゲェ手を焼いてて」
「乙哉、お前は少し黙ってろ」
そんなやり取りをしていた、その時だった。
奥の部屋から小さな泣き声が聞こえてくる。
「……目を覚ましたか」
昴が反応し、すぐにそちらへと足を向けたので、乙哉に続いて羽衣子も後を追うように部屋を覗く。
ベッドの上で目を覚ました希海が不安そうに泣いていた。
熱のせいか頬は赤く目元も潤んでいる。
「希海、大丈夫だ」
昴が優しく声をかけながら近付いた、その少し後ろ羽衣子の姿を見つけた瞬間、
「……っ、せんせ!」
涙で濡れていた希海の瞳が一気に輝き、小さな手をいっぱいに伸ばす。
「せんせ……!」
嬉しそうに笑みを浮かべて自分を呼ぶその声に、羽衣子の胸がじんわりと温かくなる。
「希海くん……」
そっと近付いて小さな手を取ると、希海は安心したようにぎゅっと羽衣子の手を握り返した。