極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
「その……慶太さんと香恵さんが抗争に巻き込まれたと仰っていましたけど、その時、希海くんには危険がなかったんですか……?」
その問いに、昴は静かに視線を落とした。
「……二人が抗争に巻き込まれたあの日は、結婚記念日だったんです」
「結婚記念日……」
「ええ。ですので、たまたま希海を預かっていました。希海は私にも懐いてくれていたので、時々そういうことがあったんですよ。二人で出掛ける時などはね」
昴は淡々と語る。
「……だから、希海だけでも無事で良かったと思うしかないですよね」
「…………」
「まだ二歳になりたての頃でしたから、初めの頃は母親を恋しがっていましたけど、二人が亡くなったことは理解出来ていませんでした」
「……そう、だったんですね……」
羽衣子は胸が締めつけられるような思いだった。
結婚記念日、本来なら幸せな時間を過ごしていたはずの日。
愛する人と笑い合って、穏やかな夜を過ごしていたはずが、突然奪われてしまった。
(……どうして、そんな……)
運命というものは、あまりにも残酷だと思うと同時に込み上げてくる悲しさに、羽衣子は涙が零れそうになるのを必死に堪えた。
そんな羽衣子を見つめながら、昴は静かに続ける。
「二人が亡くなったあと、問題になったのが希海のことでした」
「…………」
「二人は共に施設育ちで、身寄りも無かったんです。ですから、希海に親戚もいなかった。組長を始め、周囲は皆、“可哀想だが施設に預けるべきだ”と言いました」
「……っ」
「ですが、私はそれだけは賛成出来なかった。二人の子供を他人に任せるなんて耐えられなかったんです。そこで私が二人の代わりに育てると決めました」
「…………」
その決断をするのに、どれほどの覚悟が必要だったのだろう。
まだ独身で、自分の人生だってあるはずなのに。
それでも昴は、たった一人残された小さな命を守ることを選んだのだ。
「……京極さんは、とても立派ですね」
羽衣子の口からは、自然とそんな言葉が零れていた。
けれど昴は小さく首を横に振る。
「そんなことは無いですよ」
「いえ、とても立派です。希海くんは幸せだと思います。京極さんの元で育てられて」
「…………」
「きっと、慶太さんも香恵さんも、安心していらっしゃると思います」
すると昴は一瞬だけ目を細め、静かに息を吐き出した。
「……だと良いですけどね」
その声はいつになく穏やかだった。
その問いに、昴は静かに視線を落とした。
「……二人が抗争に巻き込まれたあの日は、結婚記念日だったんです」
「結婚記念日……」
「ええ。ですので、たまたま希海を預かっていました。希海は私にも懐いてくれていたので、時々そういうことがあったんですよ。二人で出掛ける時などはね」
昴は淡々と語る。
「……だから、希海だけでも無事で良かったと思うしかないですよね」
「…………」
「まだ二歳になりたての頃でしたから、初めの頃は母親を恋しがっていましたけど、二人が亡くなったことは理解出来ていませんでした」
「……そう、だったんですね……」
羽衣子は胸が締めつけられるような思いだった。
結婚記念日、本来なら幸せな時間を過ごしていたはずの日。
愛する人と笑い合って、穏やかな夜を過ごしていたはずが、突然奪われてしまった。
(……どうして、そんな……)
運命というものは、あまりにも残酷だと思うと同時に込み上げてくる悲しさに、羽衣子は涙が零れそうになるのを必死に堪えた。
そんな羽衣子を見つめながら、昴は静かに続ける。
「二人が亡くなったあと、問題になったのが希海のことでした」
「…………」
「二人は共に施設育ちで、身寄りも無かったんです。ですから、希海に親戚もいなかった。組長を始め、周囲は皆、“可哀想だが施設に預けるべきだ”と言いました」
「……っ」
「ですが、私はそれだけは賛成出来なかった。二人の子供を他人に任せるなんて耐えられなかったんです。そこで私が二人の代わりに育てると決めました」
「…………」
その決断をするのに、どれほどの覚悟が必要だったのだろう。
まだ独身で、自分の人生だってあるはずなのに。
それでも昴は、たった一人残された小さな命を守ることを選んだのだ。
「……京極さんは、とても立派ですね」
羽衣子の口からは、自然とそんな言葉が零れていた。
けれど昴は小さく首を横に振る。
「そんなことは無いですよ」
「いえ、とても立派です。希海くんは幸せだと思います。京極さんの元で育てられて」
「…………」
「きっと、慶太さんも香恵さんも、安心していらっしゃると思います」
すると昴は一瞬だけ目を細め、静かに息を吐き出した。
「……だと良いですけどね」
その声はいつになく穏やかだった。