極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
 寝室に着き、ベッドへ入った希海は疲れ切っていたのだろう、安心したようにすぐ眠ってしまった。

 一方羽衣子は希海が眠ってしまったことで部屋へ戻るしか無くなってしまう。

 そこへ、一旦下の階へ行っていた昴が戻って来る。

「希海、寝ましたか?」
「あ、はい……泣き疲れたみたいで、すぐに」
「そうですか」
「…………」

 灯りが落とされている静かな室内、希海の規則正しい寝息が聞こえてくる。

(部屋に、行かなきゃ……)

 そう思うも羽衣子の足は動かず、窓ガラスが割られた音や男たちが侵入して来たことを思い出すと身体が震えていく。

 すると、それに気づいた昴は、

「……吾妻さんも今日はこの部屋で休まれてはいかがですか?」

 そう提案した。

「え……?」
「部屋で一人になるのは、怖いですよね。私は起きていますから、吾妻さんも希海と一緒にベッドで寝てください」
「で、でも……」
「遠慮はいりません。それから、こういう時はもう少し本音を話してください。突然見知らぬ男が入り込んで来る状況なんて恐怖を感じないわけがないのですから」
「…………っ」

 そんな昴の言葉に、今まで気を張っていた羽衣子の瞳からは大粒の涙が溢れ、零れ落ちていく。

「……怖かった……急に音がして……知らない人がいて……っ、広瀬さんが怪我を負って……私……っ」

 震える声でそう口にする羽衣子を前にした昴は一瞬だけ躊躇いを見せた後、安心させる為にふわりと身体を包み込むように抱き締めた。

「……っ!」
「すみませんでした」

 昴のその言動に羽衣子が顔を上げる。

「侵入されたのは、完全にこっちの落ち度です」
「そんな……京極さんのせいなんかじゃ……」
「いえ、私の読みが甘かった。警戒はしていたし、周辺も見張らせていたし、マンションの住人についてもある程度調べていたのですが……こちらの目を掻い潜って裏で人を雇い、その者たちが業者装ってマンション内に出入りをしていたようで……」
「…………」

 抱き締められたまま、羽衣子は静かに昴の話を聞いていた。

「その上、マンション内にも金で雇われた者が何人か居たようで、そこまで炙り出せていなかったんです……申し訳ない……」
「そんな……謝らないでください……京極さんは、悪くないです……」
「いえ、全ては私の判断ミスです。貴方や希海を守ると言っておきながら危険な目に遭わせてしまって本当に申し訳ない」

 何度も謝る昴を前にした羽衣子は、

「違います……!」

 思わず声を上げた。

「京極さんのせいじゃ、ないです……そもそも、悪いのは……」

 そして、そこで言葉が詰まるけれど、羽衣子はその先を聞かずにはいられなかった。

「……私の兄、なんですよね……?」

 そして羽衣子が放った言葉に昴はすぐに返すことが出来ず、僅かに視線を逸らすと、

「……断定は出来ませんが、恐らくこの騒動にも関わりがあるかと」

 それについて否定はしなかった。
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