極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
 夕方になる頃には、ひとまず荷物の整理も落ち着いていた。

 まだ完全に片付いたわけではないが、生活する分には困らない程度には整ってきたので、今日はこれくらいにしようと言うことで作業は中断された。

 そんな中、リビングでスマートフォンを確認していた昴がふと口を開いた。

「……夕飯、外で食べませんか?」
「え?」
「家で食べてもいいんですが……家だと吾妻さんがじっとはしていられないようですからね」

 図星を突かれ、羽衣子が言葉を詰まらせた。

「何もしなくていいって言っても、多分気にするでしょうし」
「……すみません」
「いえ、謝る必要はないですよ」

 昴は小さく笑った後、リビングを走り回っている希海へ視線を向けた。

「それに、希海も元気が余ってるみたいなので」

 昼過ぎまで眠っていた分、体力が有り余っているのだろう。

 希海はソファーへよじ登ったり降りたりしながら、「おでかけしたい!」と騒いでいる。

「少し外へ出た方が気分転換にもなるでしょうからね」
「……そうですね」

 その言葉に羽衣子も小さく頷いた。

 ただ、夜中に襲撃があったばかりなので、三人だけで出掛けるわけにはいかない。

「組の者も同行させます」

 安全が確保されている訳でないこともあり、昴が当然のように告げる。

 普段なら、こういう時は乙哉が付いて来るのだが、襲撃で負った怪我は思った以上に深かったらしく数日間安静が必要とのことで病院へ入院していた。

「……広瀬さん、大丈夫でしょうか」
「命に別状はないので、数日で退院出来るとのことですから」

 そう答えながらも昴の表情は少し険しい。

 そして、誰を同行させるか考えた末――

「皐月、お願い出来ますか?」
「え、俺ですか!?」

 名前を呼ばれた皐月が目を丸くする。

「希海も懐いているようなのでね」
「はい!」

 皐月は普段、雑用ばかりを任されていることもあって、同行などで声を掛けられたことが嬉しいらしく笑みを浮かべている。

 そんな皐月を見ながら、昴はふと昼間のことを思い出す。

 三人で並んで荷物を整理していた姿。

 楽しそうに笑っていた羽衣子と自然に距離を縮めている皐月。

(……何なんだよ、一体)

 思い出すと、胸の奥が妙にざわつき、考えないようにしても、皐月と羽衣子が会話を交わすたびに気になってしまう。

 勿論、皐月を信用していないわけでは無いし、むしろ、羽衣子の精神的負担を減らすために置いている存在だから居ないと困るけれど、

若頭(カシラ)? どうかしましたか?」
「……いや、なんでもねぇ。車、表へ回しておいてくれ」
「はい! 分かりました!」

 そこまで考えた昴は眉間を押さえ、無理矢理思考を切った。
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