極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
 そして暫くして電話を終えたと羽衣子の元へ戻った昴だったが、その後も同じようなことを続けていく。

 洋服売り場へ移動すれば、「すみません、また電話が」と言って羽衣子を一人店へ向かわせ、雑貨屋でも同様だった。

 羽衣子は最初こそ遠慮していたものの、一人で見て回るうちに少しずつ表情を和らげていった。

 淡い色合いのストールを手に取ったり、可愛らしいマグカップに目を留めたり。

 その姿を離れた場所から眺める昴の口元にも、自然と柔らかな笑みが浮かんでいた。

 一通り回った頃、昴が申し訳なさそうに頭を下げる。

「本当に申し訳無い、電話ばかりで」
「い、いえ……!」
「少し休憩しましょうか」

 そうして二人はモール内のカフェへ入り、コーヒーを注文して窓際の席へ腰を下ろす。

 ようやく落ち着いた空気になった頃、

「ういちゃん! パパー!」

 元気な声と共に希海が駆け寄ってきた。

「楽しかったか?」
「うん! さっくんといっぱいあそんだ!」

 満面の笑みを浮かべる希海に、羽衣子も嬉しそうに微笑む。

 皐月が希海と自身の飲み物を購入し、四人で少し休憩することになった、その最中、

「申し訳ありませんが、少し席を外します」

 そう告げた昴は自然な様子で立ち上がる。

「皐月、吾妻さんと希海を頼むぞ」
「はい」

 そして昴は一人ある場所へ向かって行った。

 まず初めに辿り着いたのはアクセサリーショップ。

 次に洋服店、最後に雑貨店。

 各売り場で羽衣子が長く見つめていた商品を覚えていた昴は、それらを迷いなく購入していく。

 そして、一度駐車場へ向かい車へ荷物を積み込むと、何事も無かったかのようにカフェへ戻り、その後は四人で夕食を食べて帰宅した。
< 85 / 117 >

この作品をシェア

pagetop