星に願う君を
朝の騒がしさは、HRが始まるまで続き、先生が来てもまだざわついている。見渡す限り、元々同じクラスの人も確かに何人かいるけど、それでもやっぱり優也の存在がありがたい。
でも初日だし席は大竹の優也と白鷲の俺では離れてしまう。この席で話せる人を作らないとなのか。
始業式が終わり、なんとなくみんなの緊張感も解けてきた。一時間目には自己紹介をして、一通りの顔や名前を認識していく。
休み時間にも入れば着々とみんな話し相手を見つけつつあった。少しして、帰りのHRをしたら今日は解散。早速連絡先を交換している人もいれば、中にはそそくさと帰っている人もいる。
俺も、早く優也と帰ろう。別に今日無理して友達を作ろうとまでは思わないし。そう思って鞄を背負おうとしたとき、聞きなれない声に呼び止められた。
「…見つけた。白鷲翔くん、だよね!」
「は…い?えっと…。」
自己紹介したから名前を知っているのは理解できる。それでも、なんで俺に話しかけてきたのか。俺が混乱していると、彼女は一瞬悩むようなしぐさをした後、自己紹介してきた。
「私、今年転校してきたの。天河詩織!」
天河さん。あぁ、そういえば転校生が来たって言ってたような。でも、なんで俺に話しかけてきたんだ?
「あのさ、急なんだけどね?」
「は…ぁ。」
「私の相棒になって!」
「……ん?」
意味が分からない。聞きなじみのない単語。相棒って、俺の知ってる相棒?
なんで俺なんだ?初めまして、だよな?転校生だし、初めましてだ。そうだ。
「?」で俺の頭の中が埋め尽くされる。彼女は一体何を言ってるんだろうか?人間違い?いや、さっき俺の名前呼んでたし。いや、最悪同姓同名?いや、ほぼいないだろ、白鷲なんて。
自分の中で何とか解釈をつけようとしてみるが、全然わからない。
「あの!相棒、っていうのは…えっと…!」
彼女を見てみると、彼女自身もなんて説明したらいいのかわからない様子で慌てている。
相棒、ね。
何かしらの意味があるのか。なぜ俺なのか。
「…。」
「あの、少し、手伝い…的な?えっとね…。」
なんか、面白い。なんとなく、そう思った。さっきまで、あんなに意気揚々と相棒になって!なんて言ってたのに、こんなに困惑するもの?
わからないなぁ。でも、手伝いか。
「ふはっ!」
「?!」
「あ、ごめん。んー…いいよ。」
「え?…え!」
思わず口から出た。なんでいいよって言ったのか。よく自分でもわからない。でも、まぁ楽しそうって、思ったのは嘘じゃない。それに、今さら取り消せないな。かといって、取り消そうとも思わなかった。いや、思えなかった。
彼女を見ていて、悪くないとでも思ったのだろうか。
「うん、いいよ。君が言ってた相棒ってやつ?なってあげる。」
彼女は驚いたように目を見開いて固まってる。誘ったのは彼女なのに。いや、驚くか。驚くよな、普通。よく説明もできてない中OKが出たんだもんな。
「え、じゃあ…あの。」
何とか言葉を探すように彼女は目を泳がせる。そのあと、ようやく決まったのかこちらを向いた。
「これからよろしくね、翔くん。」
そう言って、柔らかく笑った。
その瞬間、どこか…何か懐かしい感覚が体を駆け巡った。…ような気がした。
気のせい、かな。
「うん、よろしくね。」
新学年早々に、君と俺の、「相棒」生活。
開始―