星に願う君を



そうして迎えた土曜日。

なんとなく家を出て待ち合わせ場所についたのは約束時間の十五分前。早く来すぎたなー、なんて考えながらベンチに腰を掛ける。


「…何とかなるものだな。」


自分の着ている服を確認して呟く。


あの日、家に帰って冷静になった俺は思い出した。女子と一度も出かけたことがないことに。

風呂、歯磨き、寝る前。ずっと調べた結果、何とか持ってる服でコーディネートを完成させた。


「わぁ、早いね。おはよ、待った?」


上から降ってきた彼女の声で現実に引き戻された。確認すると約束時間五分前。


「たまたまだよ。待ってない、俺もさっき着いたところだし。」

「ふふっ、そっか。」


彼女はどこか嬉しそうに笑った。そして、今出てきたであろう駅と反対方向を指して…


「バス乗るからこっち。」


と言って、歩き出した。


「ん、わかった。」

「今日ねー、お花見したいの!」

「お花見…。」

「そうそう、これから行くとこね?桜並木とか、桜がたくさん咲いてる有名なスポットなんだって!」


そう言って楽しそうにスマホの画面を見せてくる。画面には、お花見スポットをまとめたページが開かれている。その中に、ここからバスで少し行った場所が紹介されているらしい。


「本当だ。…あ、屋台あるって書いてある。」

「屋台!綿あめあるかなー。」


そう言いながら彼女は、軽い足取りでどんどん進んでいく。意外と歩くのが早い。


「この時期だし、休日だし、人多そうだね。」

「だねー。」


そのまま、俺たちは軽い雑談をしながらバスに乗り、彼女の目指す目的地へと向かった。
< 6 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop