星に願う君を
「わ、見てみて満開!」
バスを降り、少し歩いたところで遊歩道のようなところにたどり着いた。その遊歩道も、綺麗な桜並木だった。が、桜並木を抜けた先の広場は、もっとすごかった。
様々な桜が咲き乱れて…。思わず目を奪われるとは、これのことだな。と思ったほどに。
「風も穏やかだし、綺麗に散るね。」
「そっち派?!せっかくの満開なんだから咲いてる方に注目しようよー。」
「あ、ごめん。」
つい。もちろん咲いてるのもきれいなんだけど。桜は咲いてるときよりも、散る瞬間のほうが記憶に残る気がする。
ていうか、これ相棒関係あるのか?俺じゃなくてもよくないか?そんな俺の考えを見透かしたように彼女が笑って言った。
「!ふふっ、翔くん。相棒の仕事はこれからだよ?」
「仕事…。」
「うん、あのね。写真!撮って?」
「…写真?」
「そう!」
もっと大変な何かを要求されるのかと思ってたから、耳を疑ってしまった。あ、だからスマホか。連絡取るためだけかと思ってた。写真。写真かー。そんなに撮らないんだよな。
「…下手だよ。」
「いいの!ね、撮ってー?」
「…相棒、だもんね。わかった。」
写真なんて滅多に撮らない。だって見返さないし。フォルダーだって今何枚あるかすらわからない。それくらいのものだ。
桜が舞い散る中、軽くポーズをとる彼女におずおずとカメラを向ける。
「…。」
ピント合わない、微妙にブレる、サイズ調整むずい!
ほんとに写真を撮ってこなかったのが丸わかりの写真だ。まずい。
「撮れたー?」
彼女がこっちに向かって歩いてくる。撮れはした。でも見せるに値しないぞ。
「んー、一応。」
「どれー?」
「…え、見るの?」
「え?もちろん。撮ってって言ったの私だし。」
何言ってるの?とでも言いたげにこっちを見てくる。いや、そうだけど。見せられるほどじゃない。
「ま、経験ってことで、ね?」
渋りすぎてなんか…んー。
仕方ない。
「はぁー、はい、どうぞ。」
「ありがとっ。あはは!ほんとに苦手なんだぁ。」
眺めた後、どこか面白おかしそうに笑いだした。だから言ってるじゃないか。俺はちゃんと初めに下手って断言した。
「…写真撮らないもん。」
俺の声を聴いた後も彼女はまだ楽しそうに笑いながら写真を見てる。
「君が俺に頼んだんだからね。」
「んー?誰も悪いなんて言ってないよ。これも味じゃない?思い出、思い出。
経験値ー。」
まだ笑ってるくせに彼女はそんなことを言う。正直説得力はない。
まぁいっか。
その後も、十分に笑った彼女は
「はぁー、笑った。」
「そりゃよかったよ。」
「んー、お腹すいちゃった。」
これまた自由。写真撮ってと言い、笑ったのちにお腹すいた。満喫してるな。
お腹すいた、ねー。
「さっき見た限りだとやっぱり屋台ありそうだったね。」
「屋台!綿あめー。」
「行ってみる?人やばいかもだけど。」
「うん!」
わー、子供みたい。目を輝かせて頷くので、屋台の方へ向かってみる。