この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました

二人が横を通り過ぎていく姿が、スローモーションのように感じだ。

横を通り過ぎて行く時、美鈴はクスクスと蔑むように笑いながら、心音の耳元で囁く。

「惨めすぎ」

その言葉に、心音は唇を噛み締め、両手の拳を握ることしかできなかった。

どうやって帰ってきたのか分からない。振り続ける雨を無情に感じながら部屋まで辿り着くと、リビングのテーブルの上にケーキが入った箱を置いた。

(ボロボロ……)

雨に濡れたケーキの箱には、砂や泥がついて汚くなってしまっていた。

床に座り、そっと箱を開けると、潰れたショコラケーキがあった。

心音の手書きのプレートには、二年記念日おめでとうの文字がある。

指先でホイップを掬い舐める。ビターなチョコレートに確かにある甘さ。

だが、心音の心を幸せにはしてくれなかった。

その瞬間、一気に胸の中にある感情がこみ上げてきて、ブワッと涙が溢れ出た。

「っ……くっ…ううっ」

止めどなく溢れる涙と感情に、心音は声を我慢することができず、子供のように大声で泣いた。

(こんな形で終わりになるなんて、想像もしていなかった。あの優しさは嘘だったの? ずっと私を裏切っていたの?)

こんなに傷ついているのに、思い浮かぶのは、光太郎との美しい思い出と彼の笑顔だった。

それが余計に心音の心を蝕んで、傷を残す。
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