この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました

心音は力が抜けて、その場にしゃがみ込んでしまう。

「天野さん、どうしたの?いきなりしゃがみ込んで」
「顔、真っ赤じゃないですか」

不思議そうに心音を見る安藤と松下。

頬に手を置くと、すごく熱かった。

「大丈夫?」

安藤に心配そうに顔を覗き込まれる。

「あれ、どうしたんだろう。暑いのかな?あははっ……」
「少し外の空気を吸ってきたら?」
「そ、そうですね!そうします」

郁人にドキドキしているとは言えず、心音は一人会場の外に出た。

廊下の窓辺にある椅子に腰を下ろすと、「ふうー」と一息つく。

(あんなの反則だよ……)

周りがこちらを見ていない隙に、心音だけに聞こえるように、それも耳元で囁いた。

郁人の熱い吐息、あの心地良い声が、今も耳に残っているように感じる。

腰が抜けないだけよかった。

(郁人さん、綺麗って言ってくれた)

嬉しくて、心音の口元には、自然と笑みが浮かぶ。

好きな人の、たったその一言が欲しくて、仕事帰りの疲れた体でドレスを探し回って、美容院まで行ってキレイにしてもらった。

褒めてくれた爪もやすりで綺麗に整えて、髪も入念にブラシで整えて、顔もパックをして今日を迎えた。
< 129 / 224 >

この作品をシェア

pagetop