この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました

「しゃ、社長……」

美鈴の動揺した声に顔を上げると、そこには郁人がいた。

郁人の姿に康太郎も驚き息を呑む。

(郁人さん……)

地面に座り込み、頭からワインをかけられた心音に、郁人は無表情でゆっくりと近づいてくる。

「社長これは」

美鈴が郁人の腕を掴むが、郁人はその手に触れることもせず、思い切り振り払う。

美鈴はビクッと身と縮め、康太郎はごくりと唾を飲み込んだ。

何も言わずとも、郁人が腹の底から怒りが湧いているのがその場にいた誰もが感じ取った。

騒がしかった周りの音が消え、氷のように冷え切った、緊迫した空気が流れる。

美鈴を視界に入れることもせず、郁人はそのまま心音の前に来ると目の前にしゃがみ込む。

「郁人さん……どうしてここに……」

郁人はタキシードのポケットからハンカチを取り出すと、そっと心音の顔を拭く。

「遅くなってすいません。もう大丈夫です」

そう言い、郁人は心音をそっと抱きしめた。

「っ……ううっ」

郁人の温もりを感じ、心音は抑えていた涙が溢れ出た。

郁人はジャケットを脱ぐと心音の肩にかけると立ち上がる。
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