この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました
だが、もし心音が一夜の関係と思っていたとしても、郁人は諦めなかっただろう。
諦めきれる相手なんかじゃなかったのだ。
カナル・グランデで会った時、一目惚れをしただけじゃない。
やっと探し求めていた人に出会えた気がした。
彼女が道を歩けば、アスファルトが鍵盤のように音を鳴らし、笑えば、花々が咲くように世界が美しくなる。
たとえ、心音ともう二度と会えなくなるようなことがあったとしても、自分はずっと心音を想い続けるだろうと思った。
だから心音が諦めてくれと言ってきたとしても、郁人は想いを伝え続けただろう。
自分に振り向いてくれるまで何度でも。
人の温もりを求めているのか、心音は指輪をはめた手を這わせ、郁人の胸元を見つけると、顔を埋める。
夢でも見ているのか、心音は幸せそうに微笑んだ。
心音の癖のある栗色の髪は、ふわふわとしていて、触り心地が良い。
手で髪を掬うと、キスを落とす。
「んっ……」
すると、閉じていた心音の瞼がゆっくりと開き、郁人を視界に捉える。