この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました

だが、もし心音が一夜の関係と思っていたとしても、郁人は諦めなかっただろう。

諦めきれる相手なんかじゃなかったのだ。

カナル・グランデで会った時、一目惚れをしただけじゃない。

やっと探し求めていた人に出会えた気がした。

彼女が道を歩けば、アスファルトが鍵盤のように音を鳴らし、笑えば、花々が咲くように世界が美しくなる。

たとえ、心音ともう二度と会えなくなるようなことがあったとしても、自分はずっと心音を想い続けるだろうと思った。

だから心音が諦めてくれと言ってきたとしても、郁人は想いを伝え続けただろう。

自分に振り向いてくれるまで何度でも。

人の温もりを求めているのか、心音は指輪をはめた手を這わせ、郁人の胸元を見つけると、顔を埋める。

夢でも見ているのか、心音は幸せそうに微笑んだ。

心音の癖のある栗色の髪は、ふわふわとしていて、触り心地が良い。

手で髪を掬うと、キスを落とす。

「んっ……」

すると、閉じていた心音の瞼がゆっくりと開き、郁人を視界に捉える。
< 148 / 224 >

この作品をシェア

pagetop