この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました
「すぐに人事部に持って行け」
郁人の言葉に、進藤は退職届を手に社長室を出ていく。
「今までご苦労様でした」
ソファから腰を上げる郁人。
美鈴は正気を失ったかのように一人、社長室を出ていく。
「まだ何か?」
郁人の問いに、康太郎は徐に口を開く。
「……あいつのこと、本気で好きなんですか」
答える義務もないなと思ったが、口にしてやることにした。
「いいえ、愛しています」
郁人の言葉に、康太郎は顔を顰める。
その反応に、やっぱりかと思う。
康太郎は、今も心音のことが好きだ。
これは郁人の憶測に過ぎないが、仕事に忙しい康太郎は、息抜き程度の感覚で、美鈴と関係を持ったのだろう。
よく言う、ほんの出来心というやつだ。
そこから美鈴の罠にまんまとハマり、心音を傷つける結果につながった。
(バカな男だ)
あんなにも素晴らしい女性を前にしても、いっときの欲望に流されるなど。
(到底、理解できないな)
康太郎のように優秀な人材を失うのは会社としては惜しいが、このままここにいさせるわけないはいかない。
この男は、自分の婚約者に一生消えぬ心の傷を負わせたのだから。