この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました

「すぐに人事部に持って行け」

郁人の言葉に、進藤は退職届を手に社長室を出ていく。

「今までご苦労様でした」

ソファから腰を上げる郁人。

美鈴は正気を失ったかのように一人、社長室を出ていく。

「まだ何か?」

郁人の問いに、康太郎は徐に口を開く。

「……あいつのこと、本気で好きなんですか」

答える義務もないなと思ったが、口にしてやることにした。

「いいえ、愛しています」

郁人の言葉に、康太郎は顔を顰める。

その反応に、やっぱりかと思う。

康太郎は、今も心音のことが好きだ。

これは郁人の憶測に過ぎないが、仕事に忙しい康太郎は、息抜き程度の感覚で、美鈴と関係を持ったのだろう。

よく言う、ほんの出来心というやつだ。

そこから美鈴の罠にまんまとハマり、心音を傷つける結果につながった。

(バカな男だ)

あんなにも素晴らしい女性を前にしても、いっときの欲望に流されるなど。

(到底、理解できないな)

康太郎のように優秀な人材を失うのは会社としては惜しいが、このままここにいさせるわけないはいかない。

この男は、自分の婚約者に一生消えぬ心の傷を負わせたのだから。
< 161 / 224 >

この作品をシェア

pagetop