この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました
黙って前を見ていた郁人が、心音に振り向く。
「身勝手で、酷い男ですよね」
「そんなこと……」
「明日、イタリアへ立ちます」
「……え?」
(どうしてイタリアに行くの……?もしかして)
「勘当されたんですか?ど、どうして、私達は別れたはずです」
満は別れれば郁人を勘当しないと言っていた。
それなのにどうして。
「勘当はされません」
郁人の言葉に、心音はホッと胸を撫で下ろす。
「なら、どうしてイタリアへ」
「お祖父様に条件を出されました」
「条件?」
首を傾げる心音に、郁人は頷くと続ける。
「イタリア支社に戻り、売り上げを国外一位にすること。それができれば、心音さんとの結婚を認めてくれるそうです」
スイーツの競争率が激しいイタリアで、大企業といえど、白金製菓が国外一位を取ることは容易ではない。
ただの社員である心音でも分かるのだ、郁人はその厳しさを誰よりも知っているはずだ。
この数週間、自分はただ悲しみに暮れているだけだった。
だが、郁人はずっと自分と生きる未来を考えてくれていたのだ。
それが、胸が苦しくなるくらいに嬉しかった。
俯く心音に、郁人は歩み寄る。