この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました
ゴンドラで遊船する静かな時間、オールに漕がれて聞こえる波打つような音の中に、心音の胸の音が混ざり合う。
その胸の音は、郁人に聞こえてしまっているのではないかと思うくらいに大きい。
(どうしてこんなにも、胸がドキドキしてしまうの……)
ゴンドラは建物の間を抜け、広い運河に出る。
開放感のある、どこまでも続いてしまうような果てしない海が広がる中、目の前に現れたのは白い豪華な建築物。
「これは……」
「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂です」
心音の呟きに、郁人は建築物を見上げ言う。
(そうだ、ここもパンフレットに載ってた。サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂だ)
「バロック様式という、イタリアで始まり、十六世紀から十八世紀にかけヨーロッパで広がった、豪華絢爛で光と影のコントラストが印象的な建築様式です」
すると、教会の中から歓声が上がる。
(結婚式??)
拍手をし笑顔で祝福する人々と、純白のウエディングドレスを着た花嫁とスーツを着た新郎の姿が見えた。
「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂は、絶景を収められる結婚式スポットとしても有名で、多くのカップルが挙式を上げたり、ウエディングフォトを撮影しています」
「すごい素敵……こんなところで結婚式ができたら、どれだけ幸せなんだろう」
日が暮れ始め、青い海に夕日の明かりが反射し、幻想的な世界が作り出される。
そんな世界に包み込まれるように、二人は幸せそうに見つめ合っている。