この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました

(起こすのも申し訳ないから、電話番号を残さないと)

そう思い、心音はテーブルにあったペンを手に取るが、あることが頭をよぎり、手を止める。

(もし、また同じことになったら……?)

また裏切られて、傷ついて、そんなことになれば、自分は今度こそ立ち直れないだろう。

(今ならまだ引き返せる。戻れる)

心音はベッドの上で眠る郁人を見つめる。

(……愛おしい。でもだからこそ……)

心音は決めた。

ベッドに腰掛けると、郁人の額にそっとキスをする。

「……さようなら」

そう言い部屋を出ようとして、足を止める。

棚に上には、郁人がくれた花束があった。

(……これだけは)

花束を持つと、心音は今度こそ部屋を出た。

自分のホテルに戻り、シャワーを浴びるとスーツケースに荷物を詰めて、急いで駅に向かった。

道中、郁人との思い出で溢れて、胸が苦しくなった。

高速鉄道に乗って、過ぎ去っていくヴェネツィアの街を見ながら心音は思った。

もう二度と、恋はしないだろう__と。
< 47 / 224 >

この作品をシェア

pagetop