この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました
「こちらは天野心音さんです。まだ若いですが、とても優秀な社員です。うちの人気商品の企画書を提案したのは、彼女がほとんどです。ついこないだも企画書が通って、今は新作スイーツの試作段階です」
部長に紹介され、心音は郁人に頭を下げる。
「天野と申します」
そう言いゆっくりと顔を上げると、郁人と目が合う。
宝石のような黒い瞳に見られると、あの時のように胸がドキドキしてしまい、逸せなくなる。
(……気づいてるよね?)
だが、郁人は少しも顔の表情を変えることなく、無表情のままじっと心音を見る。
その瞳からは、あの一夜のような熱さは何も感じられない。
むしろ虚無だ。
「そうですか。天野さん、これからよろしくお願いします」
淡々とそう言うと、郁人ははじめましてかのように心音に片手を出し、握手を求められる。
心音は戸惑いながらも、郁人の手を握った。
「はい……よろしくお願いします」
するりと離れていく郁人の手は、あの夜のように冷たかった。
「では、次の部署に参りましょう」
そのまま、郁人は人事部長とオフィスを出て行った。