この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました

「こちらは天野心音さんです。まだ若いですが、とても優秀な社員です。うちの人気商品の企画書を提案したのは、彼女がほとんどです。ついこないだも企画書が通って、今は新作スイーツの試作段階です」

部長に紹介され、心音は郁人に頭を下げる。

「天野と申します」

そう言いゆっくりと顔を上げると、郁人と目が合う。

宝石のような黒い瞳に見られると、あの時のように胸がドキドキしてしまい、逸せなくなる。

(……気づいてるよね?)

だが、郁人は少しも顔の表情を変えることなく、無表情のままじっと心音を見る。

その瞳からは、あの一夜のような熱さは何も感じられない。

むしろ虚無だ。

「そうですか。天野さん、これからよろしくお願いします」

淡々とそう言うと、郁人ははじめましてかのように心音に片手を出し、握手を求められる。

心音は戸惑いながらも、郁人の手を握った。

「はい……よろしくお願いします」

するりと離れていく郁人の手は、あの夜のように冷たかった。

「では、次の部署に参りましょう」

そのまま、郁人は人事部長とオフィスを出て行った。
< 51 / 224 >

この作品をシェア

pagetop