この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました
それが今まで好きで付き合っていた人に言えることなのだろうか。
自分は一体、神田康太郎という男の何を見ていたのだろう。
「……分かってるよ」
俯いたままそれだけ言うと、心音は今度こそその場を立ち去ろうとするが、康太郎にガシッと腕を掴まれる。
「おい、何だよその態度……」
機嫌を損ねたのか、康太郎は気に食わなさそうに顔を顰めると、掴んだ心音の腕に力を込める。
「人がせっかく優しくしてやってるっていうのに」
「痛い離してっ……!」
抵抗して腕を振り解こうとするも、男の康太郎の力にかなうはずもなく、振り解けない。
(どうしてこんな目に遭わないといけないの。私が何をしたって言うのよ……っ)
ぎゅっと目を瞑って耐えていると、ベルガモットの甘い香りがした。
「えっ……」
康太郎の驚いたような声が聞こえ目を開けると、そこには郁人が立っていたのだ。
(郁人さん……)
郁人は康太郎の腕を掴み、康太郎から心音を守るように間に割って入っている。
「その手、離してもらえますか」
いきなり現れた郁人に、康太郎はサッと心音から手を離す。
「営業部の神田康太郎さんですよね。先ほどはどうも」
「……いえ、こちらこそ、ご足労いただきましてありがとうございました」
康太郎は郁人を見て、気まずそうにそうに言う。