この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました
淹れたてのコーヒーからは、もくもくと白い湯気が出て、美味しそうなコーヒーの香りが漂う。
「コーヒーはお嫌いでしたか」
郁人はテーブルに置かれた手付かずの心音のカップを一瞥して言う。
「いえ、そんなことは」
「そうですよね。あんなに美味しそうにティラミスを頬張っていたんですから」
その言葉に、俯いていた心音は顔を上げる。
郁人はイタリアの時のように優しく笑っていた。
「あの、私のこと、誰か分かって……」
「さっきはすいません、知らないふりをして。あの場では、ああするのがお互いのためかと思いまして」
郁人は心音を真っ直ぐに見る。
「会いたかったです。心音さん」
穏やかで優しい声。
挨拶の時といい康太郎への接し方、冷徹な姿に別人かもしれないなんてことを思ったが、やっぱり郁人だ。
「素性を隠していたことを謝ります。俺が白金財閥の跡取りであることを知れば、心音さんが気を遣ってしまうと思って、言えませんでした」
(だから、下の名前しか教えてくれなかったんだ)
「いえ、私も郁人さんの立場だったら、同じことをしていたと思います」