この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました
箱を持ち席を立った心音は、ウェイターの引き止めにも気づかずお店を出た。
雨の中、傘も差さず無我夢中で走る。そんなはずない。康太郎に限ってありえない。そう思うも、確かめずにいられなかった。
肩で息をしながら会社にたどり着く。康太郎がいる営業部のオフィスの明かりはまだついていた。
(やっぱり仕事してるんだ)
ほっと肩を撫で下ろし、踵を返そうとした時だった。
「ふふふっ、康太郎さんったらおかしい」
振り向くと、傘を差した人組の男女が、腕を組み仲睦まじく会社から出てくる。
二人の親密な空気と、照れながらも寄り添い合う姿から、カップルだということは明確だった。
男の顔を見た瞬間、心音の心は凍りついた。
「なんで……」
ケーキが入った箱が手から滑り落ちる。
ガタンと地面に箱が落ちる音に、顔を寄せ合っていた二人がこちらを見る。
「心音、どうしてここに……帰ったんじゃ」
心音に気づいた康太郎は、顔を青ざめさせた。
その表情と言葉に、自分の嫌な予感は当たっていたのだと心音は思った。