この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました

箱を持ち席を立った心音は、ウェイターの引き止めにも気づかずお店を出た。

雨の中、傘も差さず無我夢中で走る。そんなはずない。康太郎に限ってありえない。そう思うも、確かめずにいられなかった。

肩で息をしながら会社にたどり着く。康太郎がいる営業部のオフィスの明かりはまだついていた。

(やっぱり仕事してるんだ)

ほっと肩を撫で下ろし、踵を返そうとした時だった。

「ふふふっ、康太郎さんったらおかしい」

振り向くと、傘を差した人組の男女が、腕を組み仲睦まじく会社から出てくる。

二人の親密な空気と、照れながらも寄り添い合う姿から、カップルだということは明確だった。

男の顔を見た瞬間、心音の心は凍りついた。

「なんで……」

ケーキが入った箱が手から滑り落ちる。

ガタンと地面に箱が落ちる音に、顔を寄せ合っていた二人がこちらを見る。

「心音、どうしてここに……帰ったんじゃ」

心音に気づいた康太郎は、顔を青ざめさせた。

その表情と言葉に、自分の嫌な予感は当たっていたのだと心音は思った。
< 8 / 224 >

この作品をシェア

pagetop