この恋は制御不能です!愛を知らない冷徹社長に一目惚れされて、交際0日でプロポーズされました
終始、頬を緩ませながら食べる心音を、郁人は笑みを浮かべながら見つめていた。
相変わらず子供のような姿を見せてしまい、心音は郁人に呆れられないかと不安になったが、郁人の優しい眼差しは出会った時と何も変わらなかった。
食事も終盤に差し掛かった頃だった、郁人が徐に口を開いたのは。
「この間のことですが」
心音は手を止め箸を置く。
「俺の気落ちは変わりません。心音さんと一緒に生きていきたい。君の過去も抱える悲しみも全て受け止める覚悟です。……ですが、心音さんの気持ちを無視したくはありません」
「郁人さん……」
やっぱり郁人は優しい。
「私、ここに来るまで結論を出そうとしました。だけど……出なくて」
郁人のことが好きだ。
その気持ちは変わらない。
だが、やっぱりどうしても、今は恋愛に対して前向きな考えができない。
「郁人さん、私」
「すぐに結論は出さなくていいです。まずは俺のことをよく知ってもらいたいと思って、今日のデートを誘いました」
そう言うと、郁人は箸を持ち食事を再開する。
(……私はずるい女だ)
郁人を好きだと言いながら、気持ちに応えられない。
だからと言って、振ることもしない。
郁人と心音の気持ちを気遣ってくれているというのに、自分は彼を傷つけてしまっていないだろうか。