僕の秘密と、彼女の嘘

嘘のはじまり

七瀬プロデュースの効果は、想像以上だった。
教えてもらったメイク、髪型、選んでもらった服。
それだけで、女の子に声をかけられるようになった。

……人生最大のモテ期。
※ただし性別は誤認されている。

告白や連絡先交換のお願いは全部断った。
僕は女だし、付き合うなんてできるわけがない。


けれど、断るたびに、少しだけ胸が痛んだ。

騙しているみたいで。

うまい断り文句が見つからなくて、結局いつも同じ言葉になる。

「ごめんね」

*

「そんなの『彼女がいるから』って言えば終わるじゃん」

いつもの公園のベンチ。

七瀬はあっさり言い切った。

「だけどそれも嘘になるし……」

そう言うと、七瀬がじっと僕を見る。

「……響は彼女いるの?」

「いないって言ってるだろ」

「彼氏は?」

「いるわけない。今は男だし」

「気になる人は?」

「いない」

「前の学校では?」

「いないってば」

そこまで聞いて、七瀬はふふっと笑った。

そして、爆弾を落とす。

「じゃあ、私が彼女になってあげる」

「はあっ!?」

思わず声が裏返る。

「いいでしょ? 彼女いるってことにすれば断りやすいよ?」

七瀬は悪戯っぽく目を細める。

何を考えているのか、さっぱりわからない。
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