僕の秘密と、彼女の嘘
名前のない感情
「学祭の準備が始まるから、しばらく会えなくなるよ」
いつもの公園。
いつものベンチ。
そして、いつもの笑顔で――七瀬はそう言った。
七月に入ったばかりの夕方は、やたらと日が長くて、暑い。
汗がじわりと滲むのに、風はほとんど動かない。
「あー、学祭かぁ。でも早くない? 学祭って秋でしょ?」
「うちの高校、毎年いろんなイベントで盛り上がるんだよね。今年は最後の学祭だし、みんな気合い入っててさ。だから早めに準備するの」
「へー、楽しそう。じゃあ学祭、見に行こうかな」
いつもの七瀬なら、ここで即答だ。
「いいよ!」とか「絶対来て!」とか、ノータイムで返ってくるはずだった。
でも。
「あー……うん。ソウダネ」
目をそらしながら、歯切れの悪い返事。
――あれ?
ほんの一瞬、胸の奥に引っかかるものがあった。
でも、そのまま流した。
たぶん、暑さのせいだ。――そういうことにしておいた。
*
宣言どおり、次の日から七瀬からの連絡は激減した。
メッセージを送っても、既読がつくまで何時間もかかる。
やっと返ってきたと思ったら、
「今日はもう寝るね。おやすみ」
――以上。
最初は「忙しいんだろうな」で済んでいた。
こっちだって受験勉強も卒業制作もあるし、お互い様だ。
いつもの公園。
いつものベンチ。
そして、いつもの笑顔で――七瀬はそう言った。
七月に入ったばかりの夕方は、やたらと日が長くて、暑い。
汗がじわりと滲むのに、風はほとんど動かない。
「あー、学祭かぁ。でも早くない? 学祭って秋でしょ?」
「うちの高校、毎年いろんなイベントで盛り上がるんだよね。今年は最後の学祭だし、みんな気合い入っててさ。だから早めに準備するの」
「へー、楽しそう。じゃあ学祭、見に行こうかな」
いつもの七瀬なら、ここで即答だ。
「いいよ!」とか「絶対来て!」とか、ノータイムで返ってくるはずだった。
でも。
「あー……うん。ソウダネ」
目をそらしながら、歯切れの悪い返事。
――あれ?
ほんの一瞬、胸の奥に引っかかるものがあった。
でも、そのまま流した。
たぶん、暑さのせいだ。――そういうことにしておいた。
*
宣言どおり、次の日から七瀬からの連絡は激減した。
メッセージを送っても、既読がつくまで何時間もかかる。
やっと返ってきたと思ったら、
「今日はもう寝るね。おやすみ」
――以上。
最初は「忙しいんだろうな」で済んでいた。
こっちだって受験勉強も卒業制作もあるし、お互い様だ。