僕の秘密と、彼女の嘘
「……え?」

一瞬、意味が理解できなかった。

「ええっ!?」

思わず顔を上げる。

「どうしてそうなるの!?」

話の流れおかしくない!?

「ん? 響は僕のこと好きなんでしょ?」

七瀬は、まっすぐで曇りのない目で僕を見つめる。
その表情があまりにも自然で、僕だけが取り乱しているみたいだ。

「だ、だからって! 話ちゃんと聞いてた!?」

「聞いてたよ?」

七瀬はふっと笑った。

「僕も響のこと好きだから、うれしいなって思った」

「……え?」

今度は僕が固まる番だった。

「響に近づいたの、正直最初は興味本位だったけど」

「興味本位って……」

「でも一緒にいるうちに、どんどん好きになった。響に触れられるとドキドキしたし、他の人に触られたら嫌だなって思ったし」

七瀬は、少しだけ照れたように笑う。

「"彼女"になりたいって思ったのも、本当だよ」

胸が、きゅっと締めつけられる。

「男だって隠してたのはごめん。でも気持ちは嘘じゃない」

そして、ほんの少し不安そうに七瀬は言った。

「……僕じゃ、ダメかな?」

ずるい。

そんな顔されたら、もう。

「……僕も七瀬が好きだよ」

観念したみたいに、そう言った。

「でも、まだ整理できてない。男の七瀬が好きなのか、女の七瀬が好きなのか……自分でもよくわからない」

すると七瀬は、やわらかく笑った。

「今は、それでいいよ」
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