僕の秘密と、彼女の嘘
話し終えると、七瀬はぽつりと言った。

「ラッキーだね」

そんな、あまりにも軽い一言。
こんな嘘みたいな事情を打ち明けたら、呆れられるか引かれるか、そのどちらかだと思っていた僕は、思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。

「……え?」

ぽかんと口を開けたまま固まる僕を見て、七瀬は楽しそうに肩をすくめる。

「藤美学院って、めちゃくちゃレベル高い美術学校でしょ? 人気もすごいし。だからさ、性別ねじ曲げてでも入りたいって女子、結構いるんだよ?」

「……そうなの?」

「うんうん。それに、才能あふれる個性派男子が多いじゃん? 女子からしたら、秘密の花園っていうか、桃源郷っていうか……まあ、とにかく夢の学校なの」

……そこまで?
七瀬の言葉に若干引きつつ、僕はクラスメイトたちの顔を思い浮かべる。

確かに、個性派ぞろいだ。
髪型も服装も自由でオシャレな人ばかり(藤美学院には制服がないのだ)。
言われてみれば、ちょっと異世界じみている気もしなくもない。

「だから、編入できたのは本当にラッキーだと思うよ」

そう言い切られて、僕は曖昧に頷いた。
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