遅かれ、早かれ、恋になりまして。
18:15
”俺のほうが見てる、ずっと”
月曜日の朝。
まだ社内に人の少ない時間帯で、自分のデスクの前に座ったまま、私はずっとパソコンの画面を見つめていた。
最初の数時間が勝負みたいな妙な緊張があって、目を離すのが怖い。
「先輩、どうです?」
横から軽い声がして、私は視線を画面に固定したまま答える。
「いいね、今のところは」
八木くんは、ふーん、と気の抜けた声を出しながら、まるで他人事みたいに私の方へ椅子を滑らせてくる。
自分の担当しているものなのに、ふーんてなんだ。ふーんて。
今日から配信が始まったNEXERAとのプロジェクトは、開始直後の動きがすべてと言っていいくらい重要で、広告がちゃんと表示されているか、クリックされているか、その先にきちんと進んでいるか、そして最終的な成果が出ているかを、ずっと張り付いて確認し続ける必要がある。
ほんの少しでも数字の流れが止まったり、違和感があればすぐに気づかなければいけない。
画面を見続けているだけなのに、肩のあたりがずっと固くて、瞬きの回数すら減っている気がする。
あ~…朝から、神経が磨り減る。
「明石さん、おはよう」
「課長、おはようございます」
課長は、自分のデスクに荷物を置くと、そのまま真っすぐこちらに来て、画面をのぞき込んだ。
「問題なくいったよね?」
「はい。予定通り、朝から正常に配信開始できています」
予定通り。その言葉を口にしながら、私は一瞬だけ指先に力が入る。
本当は、“完全に予定通り”とは言い切れない部分があったからだ。