遅かれ、早かれ、恋になりまして。

「一点だけ、金曜の時点でLPの遷移設定に一部ズレがありまして……配信前に修正対応を行いました」

「修正?」

「はい。影響が出る前に気づけたので、外部と連携して対応済みです。現在は問題ありません」

「外部って?」


その言葉で、一瞬だけ手元のキーボードが止まる。

金曜の夜のことが、嫌でも頭に浮かぶ。
トラブルに気づいて、誰かに電話をかけたこと。

助けを求めるみたいに、震えたまま押した発信ボタン。

そして、すぐに来てくれた人。


「……有馬さんに確認いただいて、その場で仕様反映を調整しました」


自分の声が、少しだけ平坦に聞こえた。


「なるほど、助かったね。それは」

「……はい」


助かった、という言葉が胸の奥に落ちる。

その通りだ。
助かった。

でも、それだけで終わらせていい話じゃない気がしてしまうのは、たぶん自分だけだ。


「あとでお礼言っとかないとなぁ」

「……。」


画面の数字は、変わらず綺麗に流れている。
問題ない。むしろ順調だ。

それなのに、なぜかさっきより呼吸が浅い。

助かった。

その事実は正しい。間違っていない。
でも、その助かったの中身だけが、やけに重たい。
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