遅かれ、早かれ、恋になりまして。

CTR、CVR、CPA。
どれも一定のリズムで動いているように見えて、ほんの少しのズレがそのまま結果に直結する。


「……CPA、じわっと上がってる」


誰に言うでもなく呟きながら、私はグラフを拡大する。

朝の時点では想定内だった数値が、昼を過ぎる頃にはじわじわと境界線に近づいていた。

想定より悪ければ即調整。
それがこのフェーズのルールだと、頭では分かっているのに、指先が少しだけ重い。


「先輩、これまずい感じです?」

「まだ悪いってほどじゃない。でも、このままは良くないかな」


言いながら、私は別のタブを開く。
広告管理画面。


「クリエイティブ、切り替える」


ここでは、一度決めたら迷わない。迷っている時間が一番危ない。

震える手で、既存のバナーを一覧で並べて、数字の悪いものから順に目を通す。
CTRの低いもの、クリック後の離脱が多いもの。

原因を探すというより、切る理由を探している感覚に近い。


「これと、これ。停止」


短く指示を出すと、八木くんが「了解です」とだけ返す。


画面の中で、配信対象が静かに切り替わっていく。
たったそれだけなのに、空気が少し変わる気がした。

次に見るのは配信枠だ。

どこに出ているかで数字は簡単に変わる。
同じクリエイティブでも、場所が違えば結果はまるで別物になる。
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